スピリチュアル5S(Spiritual5S) 祈りの品質

Spiritual5SのSpirit(精神)”祈りの品質/人が創る品質”が品質保証のベース

Spiritual5Sとは
5Sは「整理、整頓、清掃、清潔、躾」と言われています。Spiritual5Sは"躾"の代わりに"精神"です。
ロゴセラピー(「夜と霧」の著者ヴィクトル・フランクルが始めた療法)では、人を精神、心、身体で考えます。
心とは感情とか気持ちとかメンタルな面です。身体はまさしくフィジカルな面です。
フランクルは心と身体をコントロールしているのが精神だと説明しています。
燃え尽き症候群、空の巣症候群など、それまでの目的や目標が達成されてしまとぽっかり心に穴が空いてしまう場合があります。
その時の自分が置かれている環境下、自分がやりたいこと、自分の役目など生きるための目的や夢/希望が失われている状態です。
どんな状況でも、自分がどうするかの選択する自由があり、それを決めるのが精神になります。
この精神の持ち方で全てが変わって来ます。
稲盛和夫著「生き方」には、 結果=考え方×熱意×能力 と書かれています。
稲盛氏は考え方が一番大切だと言っています。この考え方がまさに精神になります。
その次に大切なのは熱意だと。自分の造っている製品を良いものにしたとの精神が全ての活動にとって重要になります。
私はエーザイで品質管理9年、品質保証21年と品質関係に30年携わって来ました。
30年携わって来た品質保証について思うところを紹介します。

医薬品の品質保証GMP
  医薬品の品質保証は製造所におけるGMPが省令で定められています。
GMPは基本の品質保証ですが、それだけでは品質保証を確実にすることはできません。
そこで、GMPに"GMP上乗せ基準"を設けて品質保証を実施して来ました。
上乗せ基準とは、一般の製造業で言う「製造で品質を造り込む」考えです。
徐鉄機やバーコード確認、全数外観検査機導入、センサーはネガティブセンサー(トラブルがあれば信号を送り不良品へ)から
ポジティブセンサー(良品信号があって初めて良品側へ)への切り替えなどを行いました。

人が創る品質
しかし、人の作業を機械に置き換えてレベルを上げても、機械は予定したことしか行いません。
機械と人との接点で思いもかけないトラブルも発生します。品質は人が造ります。
人の資質を高めること、感性を高めることが品質保証にとって重要です。
そこで"人が創る品質"の言葉を通して、人の知識を高める、人の感性を高めることが重要性であることを機会あるごとに伝えて来ました。
「工場を救った一人の女性の感性(半導体の製造所)」 のきちんと研修を行い、風通しの良い風土を作っていた話と、
映画「動脈列島」 でのトラブルが起きるところに偶然出くわした人の資質により大事故にするし、防ぐことも出来る話を紹介しながら、
一人ひとりが品質保証を担っていることを一緒に考えて来ました。

誇りの品質
人は心を持っています。人の資質を高めるには、その人が自分の資質を高めたいとの思いがないと高まりません。
また、品質保証は何か起きると責任を問われ、起きないと当たり前のように思われがちです。
そのために品質保証に取り組む人は誇りを失いがちになります。
そこで、"誇りの品質"をガンジーの言葉「あなたの誇りは自分で棄てない限り、誰もあなたから奪うことはできない」を紹介しながら、
品質保証に携わる人の誇りを自ら大切にしていこうと呼びかけました。

祈りの品質
医薬品の品質を常に願うことは、祈りに通じることでもあります。
そこで、"祈りの品質"ということで、品質について絶えず考える続けることの大切さを伝えました。
考えて自分にできることは自分で行う、できないことは祈る、
祈って(考えて)いると前にできないと思ったことができるようになっている場合があります。
この祈りの力が品質保証にはなくてはならないと思っています。

先送りしない品質活動
品質保証は地道な活動です。一つの方法で品質問題を解決することはできません。
品質保証は何もしなくても問題が起きない場合があります。しかし、それは品質トラブルの地雷を増やしていることになります。
地雷を踏む確率が増えるだけです。誰かがその地雷をいつか踏みます。

神は細部に宿る
"大事は皆小事より起こる"(「貞観政要のリーダー学」守屋 洋著より)
太宗(唐の二代目名君)が側近の者に語った。貞観六年、太宗が側近の者に語った。
「近ごろ、朝廷で政務を決裁するとき、法令違反に気づくことがある。
この程度のことは小事だとして、あえて見逃しているのであろうが、およそ天下の大事はすべてこのような小事に起因しているのである。
小事だからといって捨ておけば、大事が起こったときには、もはや手のつけようがない。国家が傾くのも、すべてこれが原因である」

精神を基本に考えるロゴセラピー
この小事を先送りせずに一つひとつ行うのも人です。それを行おうと思う気持ち、精神があるかないかに左右されます。
ヴィクトル・フランクル「夜と霧」の著者(ナチスの強制収容所の体験を記した精神科医)が始めたロゴセラピーでは、
人は心と身体がある。その上に精神があり、心と身体の方向性を決めていると言っています。
心が病んでいる、身体が言うことをきかない時でさえ、精神が健全なら人のために生きることもできると説明しています。
この精神に働きかけるのがロゴセラピーです。

Spiritual5Sを伝えて
Spiritual5Sの精神(S)は品質保証の核心なのだということを、品質保証30年携わって来て実感しています。
それを伝える活動を今後して行きたいと思い、Webサイト"祈りの品質−人が創る品質−"を立ち上げてこれまでの知識/経験を紹介しています。

備考;
新5Sを当初考えました。ところが新5S(New5S)は既にありました。
躾を中心にする5S活動です。
躾の意味は、「礼儀作法をその人の身につくように教え込むこと。また、その礼儀作法」です。
躾は上が下に教え込むニュアンスを感じます。
Spiritual5Sは人が自らの意思で行う。まさに精神活動での働きです。
そこで、新5Sと区別するために、スピリチュアル5S(Spritual5S)とすることにしました。

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