新5S 祈りの品質

「工場を救った一人の女性の感性(半導体の製造所)」

NEC熊本工場は半導体の製造を行っていました。
半導体製造に置いては、歩留りがコストを左右するために、工場一丸になって不良率低減に取り組んだいました。
しかし、どれだけ取り組んでも、他のNEC半導体工場に比べ不良率が高い状態で、熊本工場の存続が議論されるほどでした。
ある朝、入社して数年の若い女性がいつもより少し遅く家を出たため、自宅と工場との間の踏切で電車待ちにあいました。
工場は電車から1kmほど離れた場所にありました。電車が通った時、かなりの振動を感じました。
彼女は仕事をしながら、今ちょうど電車が通る時間だと思い電車の振動を感じるかどうか静かに立っていましたが振動は感じませんでした
何故なら、研修で半導体の製造では振動が悪さをして不良品を増やすと教わっていました。
また、工場が不良率低減に向けて一丸となって活動していることも知っていました。
彼女は、朝の踏み切りで振動を感じたこと、工場内では振動を感じなかったことをリーダーに伝えました。
リーダーは「僕はよくわからないけど、あなたがそう思うなら一緒に工場長のところに行って話をしましょう」と言って工場長のところに行きました。
工場長は女性の話を聞き、途中で思わず女性の手を取り「ありがとう」と伝えました。
工場長は直ぐにわかったのです。電車が通った時の振動が工場の設備にも伝わり、不良率を高めていることを。
そこで線路側に側溝を掘り水を貯え、振動を吸収するようにしました。水が振動を和らげる良い方法だからです。
その結果、熊本工場の不良率は劇的に下がり、他の半導体を製造する工場より不良率が下がりました。
これまでの取り組みもあったからです。ただ振動が不良率を大きく高めていました。
若い女性社員が工場を救った事例ですが、彼女だけでなく、普段からきちんと研修を行っていた。
リーダーも、彼女の意見を取り入れて工場長のところまで一緒に行った。リーダーが「気にしずぎ、仕事に戻って」と言っていたら改善はありませんでした。
そして、工場長がよく問題を知っていたこと、何よりも社員が気楽に工場長のところに話に行ける風土を醸成していたからだと思います。
どれだけ普段からやるべきことを行い、一丸となって取り組むことが大切の事例だと思います。

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