日本薬局方(JP)について
入社は品質管理部で9年いましたが、JPについて教えて貰うことはありませんでした。
その後、本社品質保証の組織にいた時に、東薬工技術委員会(現局方委員会)に委員として参加する機会を得、
日本薬局方、局外規、薬添規について学ぶ機会がありました。JPに関してのいくつかのことを記載します。

公定書に関して welcome
  局方とは、各局方との違い、局方とICHの関係、局方と食添の違い、日局標準品とのトレーサビリィティ

・JPが改定された場合
JPは5年毎に改定されます。途中追補が2回出されます。
JPが改定されるとそれまでの承認を得ている製品に該当させるかどうか?
一般に製剤総則が改定されると全ての製品(それまで承認を得ている製品も含め)に適応されます。
適応できない場合は一変申請など手当が必要になります。
製剤総則ではなく、一般試験方法が改定された場合は、承認を得た時点のJPの一般試験方法でも適合になっています。
もちろん、バリデーションを取り、新しい一般試験方法を適用することは問題ありません。
一変申請し、承認された場合は最初の時のJPか、一変申請承認時かはっきりしていませんが、
規格及び試験方法が変わらない場合は最初の時のJPでよいと思います。
一変で変わった場合には、一変申請承認時のJPに適合しなければなりません。
JPの改訂により、既存品の軽微変更届が必要になる場合もあります。

JPでは過去に滅菌条件が厳しくなり、一定の滅菌条件に達しないものは消毒の範疇になっています。
滅菌条件が消毒になった製品は、
・滅菌条件を高くする
・無菌充填にする
・バイオバーデンを確認し、無菌性を確保する
などの選択肢を行っています。
その製造所で製造を続けるかぎり、承認当時の滅菌条件でもよいですが(最近は、当局の査察で改善をコメントすることも)、
製造場所の移管時は、一般に移管先のGMP適合性調査を受けますので、その時その滅菌条件は認められない場合があります。

・JPに原薬/製剤が掲載された場合
JPに原薬/製剤が承認されると、原薬/製剤はJPに準じます。
製品に日本薬局方を表示することが求められますので、その対応を忘れないようにしなければなりません。
過去にその表示を忘れたために製品回収に至ったケースがあります。
既存品の軽微変更届が必要になる場合もあります。

・JPへの新規掲載の流れ
PMDAがJP作成を厚生労働省審査管理課から業務を委託しています。
JP原案は先発メーカーに原案作成依頼が来ます。
先発メーカーは一般に特許が絡まない場合はその依頼に協力します。
先発メーカーからJP収載を依頼する場合もあります。
提出した案について、PMDAと先発メーカーで何度かやり取りがあります。
PMDAは日局に関する委員会(原案審議委員会)を持っており、その委員会からの指摘になります。
その委員会には業界からも準委員として参加しています。
案が確定すると、JPフォーラムに掲載され、一般からの意見募集が行われます。
製剤などでは、この期間に後発メーカーはJP案に適合しない時は意見を言います。
意見が問題なければ、次回追補または改定時に掲載されます。

・新製品の添加剤の出典にJP以外のEP,USPが認められるか
医薬品のグローバル化が進んでおり、3極共通の製品になりつつあります。
できるだけ申請書の内容も同じにしようとしています。
添加剤の出典をJPや薬添規以外に、EP,USPにしたい意向があります。
JP/薬添規に規格がある添加剤はJP/薬添規出典が優先されているようです。

・添加剤でJP適合品がある場合
JP適合品はGMPでの製造になりますが、GMPで製造していないものをJPの受け容れ検査に適合したことで出典のJP品とすることがあります。
都道府県によっては、できるだけJP製造品がある場合はそれを使用することを指導しています。

・JP標準品
医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団がJP標準品の供給を行っています。
一般に標準品は先発メーカーに標準品原料製造の依頼が来ます。
標準品には100%のものと、純度係数Pをかけるものがあります。
一般にJP標準品をルーティン業務で使用する場合、高価なため二次標準品を作成している場合があります。
二次標準品を使用する時は、JP標準品とのトレーサビリティを確保すること、
また、JP標準品のロットが切り替わるので定期的なトレーサビリティが必要です。

・JP/薬添規に添加剤などの規格が適合しない時
東薬工、大薬協にある日局の委員会(局方委員会/技術研究委員会)に相談する、あるいはPMDAに直接相談する方法があります。
JP/薬添規が間違っているあるいは不備がある場合があります。
使用している添加剤だけが適合しない場合もありますので、事前に他の添加剤メーカーのものを確認することが必要です。

戻る
2015/06/04update