変更管理とレギュレーション対応
2005年の改正薬事法において、製造場所並びに製造方法が製造販売承認書に記載されたことと、 原薬にマスターファイル(MF)が導入されるようになり、その変更に関してレギュレーション対応が生じるようになりました。
その変更に伴う、様々な負担や課題が出て来ました。それについて概要とケースを紹介します。

・変更管理について

製造所(GMP)と製造販売業(GQP)との連絡
変更にはGMPで管理している変更とGQPが直接管理している変更があります。
GMPでは変更管理は重要な項目の一つであり、各製造所で変更管理のSOPを作成し管理しています。
その変更を全てGQPへの連絡をされているところは少なく、取捨選択して報告しています。
報告内容は委託先との取り決めで決めています。
・品質に影響すること
・製造販売承認書の記載事項に影響すること
一番の問題は漏れがあり、それに気が付かない点です。
それを補うために、製造所出荷または市場出荷(市場出荷も委託している場合)する時に、
軽微変更あるいは一変事項に該当するロットかどうかを出荷記録に記載して貰います。

・レギュレーション対応

製造所の変更だけでなく、製造方法や倉庫の変更など、
製造販売承認書に記載してあることの変更は全て変更対応が必要になります。
この漏れをなくすためにどうするか、基本は相手先と変更の案内について取り決め事項を締結します。
軽微変更は、変更があったロットを出荷後30日以内に届けることになっているため、
変更がわかった時点で、何かの時点を起点として、例えばSOP変更、規格変更、変更管理終了、
軽微変更届を出す方が遅延になるリスクは低減します。

一部変更申請
製造販売承認書の製造方法や製造所の変更は、一変事項と軽微変更事項に分かれます。
問題は、一変事項に該当することを軽微変更届で提出していますことです。
軽微変更届は受理だけで審査が入りません。
その後の審査あるいは査察が入った時点で軽微変更として認められずに一変事項と判断され、
製品回収になるリスクもあります。過去に保証期間を軽微変更届で変更したために製品回収になった場合もあります。
迷う時は、できるだけPMDAに相談されることがよいかと思います。
一変事項の項目で逸脱が生じた時は、難しい判断になりますが、
この時も品質に問題がないと根拠で示すことが出来れば、審査管理課に相談することで製品の出荷ができる場合もあります。

軽微変更届
軽微変更届は、この程度は製造所の判断でよいだろうとのことでGQPに上がって来ない、
あるいは連絡が遅れる(30日以上後)ことがあります。
変更については早めに連絡を貰い、GQPとしてそれをフォローしていくことも重要になります。
GQP側から、相手先に変更がないことを確認することも、一つのチェック方法です。

・問題のケース(遅延届け&顛末書)

遅延届け
・原薬製造所でMFの変更があったのが、製造販売業者に連絡されていなかった。 ・保管倉庫を追加したが、連絡されていなかった。 ・製造方法を軽微変更の範囲内で変更したが、連絡されていなかった。

顛末書welcome
・MFの変更が一変事項に該当する内容なのに軽微で処理をされていた。
 そのため、その原薬を使っている製造販売業者が一変申請をしていなかった。
・原薬メーカーが中間原薬を医薬品と捉えずに原料として扱い、新規倉庫の製造業許可を取得していなかった。
・海外原薬メーカーが選別作業を別の近くの製造所で行ったが、その製造所は製造販売承認書に記載されていなかった。


2005年の改正薬事法で製造方法欄に詳細な製造方法、製造/保管/試験場所を記載するようになりました。
そのため、記載内容と異なった場合には、品質の問題、レギュレーションの問題が常に生じます。
多くの場合、品質には問題ない場合が多いですが、レギュレーション上の問題から、
その製品が出荷できない(廃棄)、既に出荷した製品の回収が生じる可能性があります。

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