「ビクトール・フランクル22の言葉 生きる意味」 諸富祥彦著 ”夜と霧”
1)ひたひたと押し寄せてくる慢性的な空虚感から目を逸らしてはならない
⇒空虚感を感じたらそれを考えることが重要。それは何かを教えてくれているサイン
2)幸せは、求めれば求めるほど逃げていってしまう
⇒幸せになりたいと幸せを追求しても幸せになれない。何かに熱中する、誰かのために何かをする。そうしていると幸せを実感する。
3)人間の本質は「自己超越性」 すなわち「我を忘れて」誰かや何かに関わっていくことにある
⇒”亡己利他”と通じる。己を亡くし、誰かのために行動する。
4)苦悩そのものが問題なのではない、「何のために」苦悩するのかの叫びに答えのないのが問題なのである
5)あなたの内側を見つめるのをやめてください。大切なのは、あなたの心の中に潜んでいるものではなくて。「未来であなたをまっている」ものです
⇒内側を見つめすぎる=心配し過ぎる ことは自分を苦しめるだけの場合がある。それよりもこれからできることに目を向ける。
6)人生の価値は、たとえ一瞬でも「精神的な高み」に昇ることができたかで決まる
⇒「創造価値」「体験価値」「態度価値」がある。
7)愛は、人間の実存が高く昇りうる最高のものである
8)あなたは「苦悩する人間」を「愛する人間」に変えてくれました
⇒ヴィクトル・フランクルが亡くなった時に、妻エリーに伝えたメッセージ
ナチスの強制収容所で妻を亡くし、失意の状況にいた(苦悩する状態)。そんなフランクルに愛を与えてくれた。
9)人生は、暗闇の中で演じられている一つのステージのようなもの
⇒希望という光を自ら見出すことが必要
10)過去の「思い出」は、何にも替え難い貴重な財産である。「生き抜かれた過去」は、時間の座標軸に永遠に刻み続けられる
11)人生の意味を疑うのは、その人の高い精神性の証である
12)あなたがどれほど人生に絶望しても、人生があなたに絶望することは決してありません
⇒どんな状況におかれても、価値を見出すことができる。
13)人間は、強制収容所のような極限状態に置かれると、その人の精神性によって、天使と悪魔に分かれて行く
⇒ナチスに協力するユダヤ人もいたし、自分が生きるだけで精一杯の状況でも仲間のことを助ける人もいた。
14)あなたを待っている「何か」がある。あなたを待っている「誰か」がいる
⇒信じること。信じているとそれに出会う。
15)仕事の価値はその大小で決まらない。心を込めて取り組めば、今の仕事が天職に「なる」
16)たとえ一瞬でもいい。どれほど深く、また高い体験をしたかが、人生の価値を決める
17)「変えられない運命」に対してどのような態度をとるかで、人生の価値は決まる
18)人間が人生の意味を問うのに先立って、人生の方から人間に「問い」が発せられて来ている
19)「自己中心」「幸福中心」の生き方から、「人生の呼びかけ」に応える生き方、「意味と使命中心」の生き方へと転換せよ
20)失われた時間、失われた機会は、二度と戻ってくることがありません。人生で最も貴重な財産は「時間」なのです
21)人生を意味あるものに変えるのに遅すぎることは決してありません。たとえもしあなたが。明日死刑になる殺人犯だとしても・・・
22)悩んで悩んで悩み抜け。苦しんで苦しんで苦しみ抜け。絶望の果てにこそ、暗闇の中に一条の希望の光が届けられてくるのだから
あるカウンセラーが、老いて間もなく亡くなった方のカウンセリングをしていた時のことです。
おばあさんは「もう人生は終わりだ。こんなヨボヨボになってしまって、私なんかもう何の価値もない」と言うわけです。
これに対して「あなたの最高の思い出は何ですか。あなたが一番幸福だったときのことを教えてください」とカウンセラーは尋ねます。
おばあさんは語り始めました。「私の人生の最高の思い出は・・・私は音楽の教師でした。
ある音楽会で、私が教えた子供たちとイメージとおりに曲を演奏することができました。
あのときが、私の教師人生で最高の瞬間でした。ああ、あれももう、過去のことです・・・」
するとカウンセラーは、「何をおっしゃるのですか。いまでもあなたは教師です。あなたの人生の本質は教師のままなのです。
いまおっしゃった音楽会のシーン、その最高の思い出こそ、あなたの人生の一番のエッセンスが詰まった瞬間です。
その瞬間がどれだけ素晴らしかったかによって、あなたの人生全体が素晴らしいものになったんですよ」
おばあさんはとても幸福な表情に包まれながら、安らかに自分の死を迎えることができたのだそうです。