「プロカウンセラーの聞く技術」東山紘久著 ”「わからない」との答え”
不登校のお子さんといっしょに相談にみえられたお母さんが、私に質問されました。
「先生、この子はいつになれば学校に行けるのでしょうか?」と。
私は「きょうはせっかくお子さんとおみえですので、お子さんにお聞きになればいいのではないでしょうか?」と答えました。
「そのような質問をしたら、この子は怒りませんか?」
「君、お母さんがそのような質問をしたら怒る?」
彼は首を横に振りました。
「怒らないそうですよ」と、私、「A君、いつになったら学校へ行くの?」
「わからない」と、A君。
「先生、いつもこうです。この子は答えてくれないのです」
「答えてくれましたよ。『わからない』と」、私。
「そのような答えは答えになっていません」と、母親。
「もし、お母さんが若い娘さんだったときに、お父さんから『おまえ、いつになったら結婚するのか?』と聞かれて、『わからない』と答えたら、それは答えではないのでしょうか?」と、私。
答えられない質問、正答がいくつもある質問こそ、大切な質問です。答えられない質問には答えないで相手の心を聞くことが、聞き上手のコツの一つなのです。
昔話
ある旅人がその土地の古老に「次の村までどれくらいかかりますか」とたずねました。すると老人は黙ったままさっさと行くようにてで示しました。道をたずねた人はなんと不親切な人だろうと思って、少し腹を立てて歩きはじめました、そうするとその老人は、「その足では○○くらいかかるだろう」と答えたのです。
生きている釈迦やキリストがあなたに直接助言したら、あなたは最高の助言を得ることになるでしょう。しかし、そこまで人格の高い人とはめったに出会えるものではありませんましてカウンセラーやあなたは自身に、聖者の代わりが務まるとは思われないでしょう。われわれは聞き手として、じっくり相手の話を聞き、人格と乖離した助言を避け、話し手が自分自身で人生の知恵を見いだすことを促進する以外に有効な方法がないのです。
聞き手は話してより偉くないことを自覚しているべきです。それでもついつい人の悩みを聞くと、自分がその人より偉いと感じ、助言してしまうことが多いものです。話し手との平等性を確保している聞き手は、尊敬していい人です。
われわれカウンセラーは、専門書と同じくらい小説を読んでいます。何本も映画を見ている人もいれば、音楽を聞いている人もいます。相談者が夢中になっているマンガ、映画、音楽、小説があれば、必ずといっていいほどそれを見たり聞いたりします。相談者がどうしてそれに感動しているかを知るためもありますが、それより自分と相談者の体験差を知っておくためです。相談者がそれにのめりこんでいる状況が相談者自身の立場でわかるからです。
本の項目
1) 聞き上手は話さない
2) 真剣に聞けるのは一時間以内
3) 相づちを打つ
4) 相づちの種類h豊かに
5) 相づちはタイミング
6) 避雷針になる
7) 昔の主婦は聞き上手
8) 自分のことは話さない
9) 他人のことはできない
10) 聞かれたことしか話さない
11) 質問には二種類ある
12) 情報以外の助言は無効
13) 相手の話に興味をもつ
14) 教えるより教えてもる態度で
15) 素直に聴くのが極意
16) 聞き上手に上下関係なし
17) 寡黙と「いま・ここ」の感覚
18) 嘘はつかない、飾らない(オープンということ)
19) 相手の話は相手のこと(わかるが勝ち)
20) 評論家にならない
21) 共感とは芝居上手
22) LISTENせよ、ASKするな
23) 話し手の波に乗る
24) 言い訳しない
25) 説明しない
26) 話には小道具がいる
27) お茶室h最高の場
28) したくない話ほど前向きが長い
29) 聞きだそうとしない
30) 秘密の話には羽がある
31) 沈黙と間の効用
感想;
聴き方によって、相手の話の内容が変わることがよくわかりました。
項目の中で、”相手に興味を持つ” これが自分には不足しているのを感じました。