「仕事力入門−プロと言われた人たちの生き方−」 ”神の手 福島孝徳と佐野公俊の対談”他
常に前進 常に挑戦
脳外科手術で神の手を持つと言われるお二人、福島孝徳(デューク大学教授)と佐野公俊(総合新川崎病院福院長)の対談記事がありました。
お二人とも努力がすごく、お休みなしで働き、年間数百の手術をされています。常に新しい良い方法がないかとの工夫も続けながら。
その中でも、福島先生の頭蓋底手術は8,500例、佐野先生の動脈瘤手術は3,400例にもなっています。
一に努力、二に努力、三に努力、すべて努力で、努力がもう90%だと。5回やって覚えられないなら、10回、それでもダメなら20回やりなさい。
医療社会学者 アーロン・アントノフスキーがナチスの強制収容所から生還した人たちの健康調査を継続的に行ったところ、一部の人たちはとても長生きしたことがわかりました。
そして、その人たちに共通して3つの特性を持っていたと報告しています。
1)有意味感
つらいこと、面白味を感じられないことに対しても、意味を見出せる感覚。
明日ガス室に送られるかもしれない中でも、自暴自棄にならずに、今日の労働に精を出せること。
我々のレベルに置き換えると、望まない部署に配属されても、「将来なんかの役に立つかもしれない」と思って前向きに取り組めることといえます。
2)全体把握感
「ひとまず夜がくればこの過酷な労働も終わりだ」とか、「いつかは戦争が終わって開放されることもあるだろう」と思えること。
先を見通す力、とも置き換えられるかもしれません。
仕事に転じれば、例えば今週は忙しくて土日出勤になっても、「なんて忙しいんだ」と思うのではなく「今週は休めなかったけど、来週のこの辺は少し余裕ができるから、そこで休めるな」など、先を見て心の段取りが取れること。
3)経験的処理可能感
最初はこんなことは絶対にできないと思っても、「そう言えばあの時もできないと思ったけど、以外とできたよな。今回もできるんじゃないかな」と思えること。
初めて手掛ける仕事でも、過去の経験からこの程度まではできるはず、でもその先は未知のゾーンだと冷静に読める。
ただ、その未知のゾーンも、あの時の仕事の経験を応用すればできるかなとか、あの人に手伝ってもらえそうだなと把握できる感覚です。
SOC(Sense of Coherence)の育て方~
一般的にストレス対処能力を測る物差しとされていますが、簡単にいってしまえば、「きっとうまくいくに違いない」という情緒的余裕と経験に基づく楽観性ではないかと思います。
基本的には人間のSOCは幼少期の経験が大きく影響します。要するに愛されて、共感されながら育ったかどうか、ということです。
また、SOCを高めるには、他者に学ぶことも一つの方法です。例えば「なぜこんな仕事を自分がやらなければならないのか」と感じた時、
「あの先輩も最初はそう感じた仕事が後になってすごく役立ったとか言っていたな」と思えることで気持ちの切り替えに繋がります。
うつ病など、精神的な病に苦しんでいる人は、「自分はうつ病だ。自分は弱い。ダメだ・・・」、あるいは「なぜ自分ばかりこんな目に遭うのか」と自分にフォーカスを当てすぎて、周りが見えなくなっているのです。
人生の要諦は心術にあり;道場六三郎VS坂井宏行対談
仕事場の人間関係でも一番大切なのは、人に好かれることで、もっと言えば「使われやすい人間になれ」ということだろう(道場)
僕はいつもこう思っていた。人の二倍は働こう。人が三年かかって覚える仕事を、絶対に一年で身に付けようと(道場)
どんな小さなものにも喜びと感謝を持つ心を忘れてはいけない(道場)
当時の僕は、きょう与えられた仕事はきょう中にやってしまう、クリアする、明日に延ばさないということを常に心掛けていた(坂井)
仕事に惚れたら軸はぶらすな。この軸がぶれると二流になってしまう(坂井)
師弟感奮興起物語;荒川博VS汪貞治対談
習い方が上手いとは、習う素直さがある人だ(荒川)
教える人間というのはね、ある意味では弟子に尊敬されるぐらいの努力をしてないといかん。それぐらいの努力をしないと誰もついてきてくれないよ(荒川)
よく「人間だからミスはするもんだお」と言う人がいますが、初めからそう思ってやる人は、必ずミスをするんです。基本的にはプロというには、ミスをしてはいけないんですよ(王)
我々教わる側からしたら、その人のことを信じて、やる。信じてついていく。だから教える側は、相手に「信じさせる」ということが大切でしょうね(王)
感想;
その道のプロは、並大抵でない努力をしてきているということが皆さんに共通していました。
才能があるないよりも、まずそれだけの努力をしたかどうか。
実績を残している人の言葉には重みを感じました。
”言葉は誰の口から発せられたかによって重みが変わる”