「絵本の力」 河合隼雄、松居直、柳田邦男共著 &
絵本「ポケットのなかのプレゼント」柳澤恵美文、久保田朋子絵


「絵本の力」 河合隼雄、松居直、柳田邦男共著
・絵本は大人が読んでも素晴らしい作品。
・絵本を見ると音が聞こえてくる。
・絵本は大人が子どもに読み聞かせるもの。

この本に、次の絵本が生まれたお話を紹介されていました。

絵本「ポケットのなかのプレゼント」柳澤恵美文、久保田朋子絵
8歳と5歳のお子さんを残して亡くなられた柳澤恵美さんの遺作です。

ご主人は開業医をしていて、がんが進行して、おそらくあと1年くらいしか人生の持ち時間がないとわかった時、
自分がこの世に生きた証をどうすればつかめるのか、そして子どもたちにどういう形でメッセージを残せば母親としての使命感を果たせるかと悩まれた。
考えたすえに思いついたのが、絵を描く友達と一緒に絵本を作ることでした。それは、ウサギの村の若い夫婦と子どもの物語です。
うさぎの村では、赤ちゃんができると、お母さんが子どもにボレロ風のジャケットを手作りでつくってあげて、
そのポケットに毎年誕生日にプレゼントをしていくならわしがある。

一歳のときは歯ブラシを贈って、虫歯にならないようにしないと健康を損ねますよ、
すくすく育つためには歯をしっかり守って食べ物をしっかり噛んで食べましょうと教えます。

二歳になるとタオルをプレゼントして、顔をきれいにしましょう、清潔にしましょうと教える。そうやって毎年、年相応のプレゼントを贈っていくわけです。

五歳になり知識欲が出て、好奇心も出てくるから虫メガネをプレゼントして、これでしっかり草花や昆虫などを観察しなさいと教える。

十八歳の誕生日には、鉢巻きをプレゼントしました。この鉢巻きでうさぎ村にあつ七つの岩山全部に自分の力で登りなさいと教えるんです。
七つの岩山とは、勇気の岩山、楽しみの岩山、忍耐の岩山、礼儀の岩山、信念の岩山、信仰の岩山、愛の岩山です。

十九歳の誕生日には、今度はリュックサックを贈りました。これからはお母さんがプレゼントするものはありません。
このリュックサックには自分で大事なものを探して詰めていきなさいと教えるんですね。

子どもたちも、絵本をつくっていく過程をずっと見ていましたし、内容もよく理解できたので、
母親が旅立つ時には、「お母さん、ありがとう」と、感謝の言葉を述べたということです。

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