本の紹介&感想
「昔話の深層」 河合隼雄著 ユング心理学とグリム童話 ”民話が語り継がれて来た理由”
昔話には魂が込められている。大学生に「自分の人格形成に強い影響を与えた書物について」というレポート課題を出したことがある。
このときに、幼少期の体験として昔話をあげる人が案外に多く驚いたことがある。
昔話のもつ力の偉大さをあらためて感じさせられたものである。昔話の発生の心理側面は次のように説明できる。
ある個人が何らかの原型的な体験をしたとき、その体験をできるかぎり直接的に伝えようとしてできた話が昔話の始まりであると思われる。
それが原型的であるということは、人間の心の不偏性につながるものとして、多くの人に受け入れられて、時代を超えて存在し続けることを意味している。
グリム童話を中心に取り上げられている。
・トルーデさん(グレードマザーとは何か)
・母なるもののやさしさ、恐ろしさ
・見てはならない真実、言ってはならない真実
・ヘンデルとグレーテル(母親からの心理的自立)
・さまざまな母親離れ
・親の影を子どもが知ると・・・
・ものぐさ三人むすこ(「怠け」が「創造」をはぐくむ)
・無意識の願望
・「無用の用」の教え
・二人兄弟(影の自覚)
・「真実」と「嘘」
・影・・・誰もがもつ黒い半面
・いばら姫(思春期に何が起きるか)
・「眠り」と「目覚め」
・変身をめぐって
・「時」は満ちる!
・忠臣ヨハネス(トリックスターのはたらき)
・「見てはならない部屋」
・心にはトリックスターが住んでいる
・黄金の鳥(父性原理をめぐって)
・父なるものの役割
・欠点、弱点がプラスに働く
・なぞ(男性の心のなかの女性)
・男女関係になぞがつきまとう訳
・つぐみの髭の王さま(女性の心のなかの男性)
・父親が娘に抱くひそかな願い
・「アニムス」が女性を変える
・女性の精神の秘密
・三枚の鳥の羽(自己実現する人生)
・「自己に至る道」の入り口で
・真実は「第三の道」にある
感想;
本当は怖いグリム童話と言われています。
グリム兄弟が民話を集め、そのお話を変えたりしてグリム童話を創りました。
そのグリム童話を取り上げて、心の深層を取り上げています。