本の紹介&感想

「反省させると犯罪者になります」 岡本茂樹著 "人は自分がされたことを、人にして返すものです"

犯罪者に反省させるな“。「そんなバカな」と思うだろう。
しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、彼らは「世間受けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。
犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」
「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。

人は自分がされたことを、人にして返すものです。優しくされれば、人に優しくすることができます。
冷たくされると、人に冷たくしたくなります。そう考えると、人を傷つける人は、自分自身が傷ついていると理解できます。
自分自身が傷ついているから、自分自身を大切にできません。自分自身を大切にできないと、当然のことながら、他者も大切にできません。
自分自身を大切にできず、自分の「心の痛み」に鈍感になっているから、他者の「心の痛み」にも気づけなくなります。

ロールレタリング
 自主的に自分の感情を手紙に書くことで、自分の抑えられていた感情が吐露され、その過程を通ると相手に対する思いが生まれてくる。
 この手紙で感情を出させるのがロールレタリングである。
 ただ、これも無理やり行うと、模範的な反省文になり、読み手に評価されるような反省文になってしまう。

内観療法
 迷惑をかけたこと、して貰ったこと、してあげたことを身近な人毎に、その3つを思い出すことで、
 これまでに一人で生きてきたのではなくいろいろして貰ったことを思い出すことで感謝の気持ちを芽生えさせる方法になっている。
 ただこの方法では迷惑をかけたことにウエイトを置くため、使い方を誤ると感情を抑圧させることにもなる。
 その療法を使う場合、「迷惑をかけられたこと」についても時間を費やすことがよい。

感想;
模範囚は刑務所を出て再犯率が高く、刑務所に戻ることが多いそうです。
模範囚は刑務所を出たいための良い模範囚を演じているのであって、本当の意味での反省に至っていないからだそうです。
  著者は実際に刑務所で指導に当たる中で、直接犯罪者と話をし、「反省させる前に自分の感情を吐露させる」ことがいかに大切かを実感しています。
犯罪者に被害者のことを考えさせても、「被害者にも問題があった(加害者からの目線)から、おれは犯罪を犯し刑務所に入れられている。
被害者がいなければ俺は刑務所に入っていなかった」との考えを持っている犯罪者が多くいるとのことです。
先ずは、自分がどうして犯罪者になったのか、周りの人や社会への不満を出させて、それを行う中で俺にも悪い点があったとの気付きが生まれます。
そのステップを踏むことが本当の反省になるとのことでした。


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