本の紹介&感想

「大平光代のくじけない生き方 ”自分らしい“幸せをつかむ75のヒント」 大平光代著

著者が41歳になる歳に産んだ娘は、ダウン症候群を持っていて、白血病、心室中隔欠損、
心房中隔欠損、肺高血圧、甲状腺機能低下症などの合併症があります。
また、五歳時の発達テストでは発達年齢1歳9か月と診断され、養育手帳「B1」をもらっています。
私は娘の療育のため、これまで築いたキャリアを捨て、弁護士の仕事はほとんど休業状態です。
こんな私は世間の尺度からすると「不幸な人」と見えるかもしれません。
でも、私は今、とても幸せです。娘の白血病は抗癌剤治療で良くなり、心臓手術も成功し、元気で明るい娘に成長しています。
そして、発達テストの結果など、私にはどうでもいいことで、ただただ目の前にいる娘がかわいくて愛おしいのです。
他人が下す評価に、一喜一憂するのは愚かなことだと思っています。

きっとこの先も楽しい人生が待っています。今は、これまでできなかったことをしようと思って、毎日ワクワクしています。
娘を療育するための教材を作ったり、趣味のステンドグラスの図案を考えたり、畑で野菜やハーブを育てたり、したいことはいくらでもあります。
毎日が楽しく、日々幸せを感じているのです。

著者は中学生の時に割腹自殺を図り、その後は家からはなれ極道の組長の妻になりクラブで働き、
そこで叔父さん(大平氏)に出会い、叔父の熱心な働きで人生をやりなおし、中卒の資格しかないところ、宅建、司法書士、
大学卒業資格、弁護士の資格を取得した。娘を出産した時に壊死が広がる難病にも罹り、ステロイド剤投与で何とかいのちを救われました。

著者の優しさ、慈しみ深さを感じさせる本でした。

それを表すエピソードを。
身体が硬いのでヨガに通っていたそうです。中に同じように身体の硬い人がいて、目線が合ってニコッとしたことがきっかけで、一緒にお茶を飲みました。
彼女曰く、「そのカフェで働いている男性が好き」とその男性を教えてくれました。
まだ片思いだそうです。その男性を見ると、同じマンションで時々エレベーターで一緒になる人で挨拶をしている人でした。
そこで彼女を応援するつもりで、自宅の部屋でパーティを開き、その男性、彼女、他何人かを招きました。その時に彼女に伝えました。
@片思いの彼と一緒になれて嬉しくても、すぐに自分から「好きです」とは言わないこと。
A女性から強く押すと、男性は逃げてしまう。まず、彼にとってはいい友人になることを心がけること。
B仮に思いを成就できたとしても身体だけの関係になってしまうと、最後は悲しい別れ方をしないといけなくなるので慎重に。
パーティで彼に会った彼女は、彼から「時々、お店に来てくれてますね。ありがとうございます」と言われ、
「あなたの入れてくださるコーヒーが美味しいから」と返事したそうです。それから数年後、ポストに一通の招待状が届きました。
「私たち結婚します。・・・。彼からでした。おそるおそる妻の名前を見ると・・・よかった。片思いが成就したんや・・・。
そして招待状の余白には彼女のかわいらしい文字で、こう書かれていました。  身体が硬くてよかったです(笑い)。


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