本の紹介&感想

「指揮者の仕事術」 伊東乾著

「指揮者の仕事術」 伊東乾著
人は誰だって夢が見たい、明日への希望を持って暮らしたい。
ところが大学でレッスンしていると、学生たちから「希望を見失ってしまいました・・・」という相談を受けることが少なくありません。
若い命とエネルギーを燃やすべき夢が見られないのは、とても深刻な問題です。
残念なことに現在の日本は、社会全体がヴィジョンを見失いやすい世の中になっています。

「夢を見るちから」。このちからは誰も生まれながらにして持っている能力です。
私たちがこの世に誕生し、生きて行く上で「心の支え」になるのは、生きがいとなる夢や希望がもっとも大きいと思います。

音を出さない音楽家である指揮者の究極の仕事術は、音楽を通じて生きる夢や希望を、みんなと分かち合うことです。
誰もが持つ「ファンタジーを産みだすちから」「夢見る能力」を発揮させること。
そのためのヴィジョンを分かりやすくみんなに示して共感してもらい、本気になって、一緒に進むこと。
共通の目標を実現して、生きる喜びを分かち合うこと。

これこそ芸術に限らず、社会生活全般に通じる、シンプルだけれど無限の奥行を持つ「指揮する人の仕事術」のポイントです。

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