本の紹介&感想

「浮気人類進化論」 竹内久美子著

「浮気人類進化論」 竹内久美子著
動物の行動を観察することにより、人の社会的行動の基本を知るということで、
サルの研究とかされていますが、この本はいろいろな動物の夫婦関係、
オスとメスの関係をまとめたもので、面白かったです。
以下の動物以外にもたくさん紹介されていました。

かまきり;
メスがオスを食べることでよく知られているが、メスは交尾前後関係なく、オスを食べようとする。
オスは食べられないようにそっと後ろから近づいて、メスに背後から乗っかかり交尾する。
オスは頭をメスに切られても身体が動くので、交尾ができる。

トンボ;
トンボのオスは尻尾の先でメスの頭の首根っこを抑えて、メスを捕まえる。そして交尾をする。
あの形で交尾するのはいつでも危険を感じたらメスと一緒に飛べるようにするため。
交尾が終わっても、メスを捕まえたままにしている場合もある。
それはメスが他のオスと交尾するのを防ぐため。つまり自分の遺伝子を残したいから。
カワトンボの一種類には、前のオスが交尾した精子を掻き出すことをやる。
メスは受精してもすぐに卵子と一緒にならずに、精子を蓄えてその後に卵子と精子を一緒にする。

モンシロチョウ;
メスとオスは外観上は区別がつかないが、メスは紫外線を反射しているが、オスは反射しない。
オスからみると紫外線が見えるので、メスだけが目に入ってくる。
モンシロチョウは交尾すると暫くはオスを産卵するまで受け付けない。
オスのチョウは孵化したてのメスのチョウを早く見つけたいので、
日が昇ると朝早くから出かけてメスを探している。朝早く起きるのが自分の遺伝子を残す方法。

ガガンボモドキ;
オスがえさをメスに与えている間に交尾する。メスもえさの大きさによって交尾させるかどうかを判断する。
交尾が始まって5分間は受精しないので、えさが粗末だと、5分間だけえさを食べて、オスを拒否する。
5分間の間に食べるだけ食べて逃げる。えさが交尾できる大きな要素である。
あるオスは大きな立派なえさだと、それでメスと交尾し、充分受精したと思ったら、
メスが食べているそのえさを取上げて、次のメスに向かうものもいる。
同じえさで何度もメスをとっかえひっかえ交尾しようとする。オスとメスが交尾している時に、
そのえさを盗むオスがいる。盗んだえさを別のメスに与えて交尾する。
ただこのように盗む遺伝子が増えるとえさをとる遺伝子が残らなくなり、
困るので盗む遺伝子はある一定に抑えられている。オスとメスは外観がにている。
違いは飛び方で、メスはゆっくりまっすぐに。オスは早く曲がったりして飛ぶ。
オスの中にはメスの飛び方を真似てメスだと思わせて、オスにメスと勘違いさせてえさを貰い、
えさを貰ったらえさを抱えてとんずらする遺伝子をもったものもいる。

ハヌマンラングール;
サルの一種。一夫多妻をとる。一頭のリーダーがメス5〜10頭を引き連れている。
しかしこのハーレムも長く続かない。取って替わるオスが出てきたら、メスや娘ども達はそのリーダーに従う。
息子は敗れたリーダー(父親)に従ってハーレムを離れる。
乳のみ子は母親と一緒だが、新しいリーダーは乳飲み子を殺す。
何故なら自分の子どもで無いので、乳飲み子を殺して、メスが早く発情するように仕向ける。

マウンテンゴリラ;
一夫多妻制。2〜6頭のメスと子ども達を連れている。オスは10歳になるとハーレムを出て行く。
メスはハーレムに残る。オスはチャンスがあれば他のハーレムのメスを奪う。
メスも奪われたら素直についていく。ゴリラも時に自分の子供でない乳飲み子を殺す場合がある。

チンパンジー;
チンパンジーは挨拶替わりに交尾する。ただし、排卵日が近づくと優位なオスが交尾の主導権を握る。
劣位のオスにもチャンスがあり、気に入ったメスのところに行き、一緒に逃避行する。
ただし群れのテリトリーを越えて他のテリトリーに入るとオスは殺される危険性がある。
チンパンジーの社会でも、自分の子どもでない乳飲み子を殺すことがあり、それを食べることもある。
それは他の群れから来たメスが身ごもっていた場合に出産した場合などに起きる。

ボノボ;
ボノボの社会では子ども殺しはなく、メスの団結力が強い。
チンパンジーは交尾が終わったり、乳が出ている間、つまり乳飲み子を育てている間は発情しない。
一方、ボノボは発情する。しかし、排卵が伴わない、受精しない発情である。
よって発情するのでオスを受け入れる。受け入れることでオスの乳飲み子殺しを防いでいるのではないか。
チンパンジーもボノボも父系社会。チンパンジーでは集団同士が激しく対立するが、ボノボはしない。
メス同士、性皮を合わせる行動をとり、お互いが気持ちよくなる。
この行動を日本チームが発見し“ほかほか”と名づけた。
メスはオスからえさを欲しいために、お尻をオスにだし、マウントさせる。
一度させるとメスは遠慮なく強引にえさをオスから奪い取る。

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