「オタクの息子に悩んでいます」 −朝日新聞「悩みのるつぼ」より− 岡田斗司夫著
「オタクの息子に悩んでいます」 −朝日新聞「悩みのるつぼ」より− 岡田斗司夫著
この本は読者からの相談にどう回答を作成して行うかの思考プロセスを紹介し、
実際の回答事例と幾つかのその回答を貰った読者のお礼の手紙を紹介しています。
「悩みのるつぼ」の回答者は、車谷長吉(作家)、金子勝(経済学者)、上野千鶴子(東大教授)、著者で始まり、
その後、車谷さんの後を美輪明宏さんが加わっています。
著者はそのような回答者の中で、自分はどのような立ち位置で回答するのがよいかを考えました。
回答に心がけていること
1)何か役に立ちプラスαがあるような回答
2)相談者に回答しているが、他の人にも参考になるような回答
3)できるだけ具体的に、できるだけ論理的に、実行可能なことのみ回答
4)こういうやり方・考え方がありますが、最後はあなたが決めればよいとの回答
5)何が本当に相談したいのかの分析を行い、その相談したいことへの回答
思考ツール
1)分析;相談したい本音は何だろうか。見立てをする
2)仕分け;相談内容をできること、できないこと、あるいは社会の問題、相手の問題、自分の問題など分ける
3)潜行;なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜを繰り返す
4)アナロジー;他に例える
5)メーター;0-100で考えずにその悩みはその間のどの程度か
6)ピラミッド;男女の付き合いでは、付き合いたい女性はピラミッドの上中下(異性からのモテ度の高さ)のどこにいるか、
自分は同じくピラミッドの上中下を考え、ターゲットを決めるなど
7)四分類;問題を幾つに分類できるか
8)三価値;
@最大多数の最大幸福を考えたらどうするのがよいか
A個人の自由と権利を最大限にとは自分を優先する
B社会としてあるべき姿の中でどうするか
9)思考フレームの拡大;相談者の考えている枠を広げる、例えば相談者が悩んでいる相手がいれば相手の立場ならどうするのが良いかを考える
10)共感と立場;相手の立場で考える、自分がそうなったらどうか、相談者の味方で考える
11)フォーカス;可能な行動に絞って回答する
回答を作成するに当たって、一番大切なことは、相談者への愛が回答文から伝わるかどうかが一番重要とのことです。
相談事例要約;30代OL
1年半付き合った彼と別れた。彼の携帯電話を見たら、
「週末の温泉楽しみだね!。いっぱいいちゃいちゃしようね」とあり、彼を問い詰めたら、
「おまえを試したんだよ。まさかケータイを盗み見すような女とは思わなかった」と説教され続け出て行った。
盗み見をしたのを謝るべきが、それともだまされているのか。
回答要約;
謝るべきかとあるが、もう別れていますね。元彼にムチャクチャな説教されて悔しかった。
私が悪かったかもとの反省、お前が言うかとの怒り。
信じられないなら別れる。信じたいなら疑わない。のどちらの生き方を今後選びますか。
感想;
いろいろな考え方、選択肢があることを気づかせてくれるような回答でした。
辛い気持ちを聴いて欲しい人には、ズバズバと入って来られたり、決め打ちをされたりして、
そこまで言われると思う場合があるのではないかと思いました。それを和らげているのが、
回答文の中に相談者に愛を持って一所懸命考えているとの気持ちが伝わるようにされていることなのです。