本の紹介&感想
「黄砂その謎を追う」 岩坂泰信著 ”黄砂の思いもかけない働き”
黄砂は日本より韓国、さらに中国では被害が大きい。
韓国では黄砂をハングル読みにしており、中国では「砂塵天気」との言葉を使い、ランクの一番厳しいものは「砂塵暴天気」と呼んでいる。
中国のタクマカン砂漠、ゴビ砂漠から黄砂が飛び、それに北京などの汚染物質が合体して日本に飛んできている。
黄砂はさらに太平洋を飛び米国にまで到達している。途中途中天気の状況により、黄砂が落下している。
黄砂には二酸化硫黄(亜硫酸硫黄に変化)や硝酸イオンなども付着している。
ライダーという装置からレーダーを黄砂に当てて、黄砂を確認することを著者が初めて行った。
それにより黄砂の飛んでいる高さなども測定ができた。
黄砂には高さの違うものがあることがわかり、高い空にあるのはタクマカン砂漠から来ていることを突き止めた。
タクマカン砂漠からの黄砂は日本上空では4〜6km上空であった。
それ以外の黄砂は1〜3kmの上空を飛んでいた。低空の方が量は多かった。
落下物の砂が黄砂かどうかの判断は難しい。日本の砂が飛んでいるかもしれないとの意見には反論が難しい。
そこで敦煌での黄砂補足、日本の上空での黄砂補足などして黄砂に関して様々なことが分かって来た。
米国では天気を研究しているグループではなく、海洋を研究しているグループが黄砂について関心を持って研究に参加しています。
その理由は黄砂が持っている(吸着)物質が海洋のプランクトンの餌になっているとの仮説です。
窒素化合物から窒素をプランクトンが取り込んでいるとのことです。
また、黄砂が二酸化硫黄を吸着していたことから、汚染物質を吸着している働きがあるのではないかとも考えられています。