「鳥が教えてくれた空」 三宮麻由子著
「鳥が教えてくれた空」 三宮麻由子著
著者は4歳で失明した。バード・ウオッチングを鳥の鳴き声からいろいろと鳥の種類や状況を知る。
バード・ウオッチングを通して、自分が生きることの意味を知り、元気を貰っている。
阿川佐和子さんとの対談で
阿川;「箸休め」の発想というのもそういうところから生まれたわけですか?
三宮;たとえば、仕事で翻訳をするときに、晴眼者と同じレベルのことを要求されると、どうしてもハンディキャップがあるんです。
私としてはこれ以上ないくらい上達したと思っても、他のみんなはそれ以上に上達していて、アキレスと亀じゃないけど、
永遠に追いつけないそこで私というものをどうやって位置づけていくのかを問うたときに、
私は障害者であっても努力して百パーセント発揮しているわけだから、そこにおいては他の人と同じはずだ、
できることをやって結果として戦力になった、そう考えることで、仕事のことは決着がついたんです。
でも、人生、生きる人間社会の中では結果が出てこないんですね。その時に、鳥たちのことを思ったんです。
鳥たちは自分の位置づけはどうかなんてことを考えずに生きている。
たとえば、私が水をあげなかったら死んでしまうのに、私が行くことを信頼して、
その水に毒が入っていないことも信頼して嬉しそうに飲んでくれる。
その生きる姿を見て、こんなにちっちゃいけれど、もし、この世に鳥がいなかったら、ほんとに世の中は味気ない。
だから弱い強、できるできないじゃなくて、その存在自体に意味があるんだ。
といことは、私にだってできないことがいっぱいあって、小さな存在だけど、
ここに生まれたということは存在する意味があるんだろうなと。
決してメインディッシュではないけれど、神様の箸休めにならなれる。
そう思ったときに、やっと私の居場所というか、心の置き場が見つかったような気がして。