製造販売承認書での試験は、効率よりも一般的な試験方法で早く確立することが優先されています。
また、日本薬局方に規定されている試験方法やに準拠した方法になります。
どうしても効率的な試験方法にすることは二の次になりがちです
承認を得た後に代替試験方法で効率な方法にすることになります。
・製品試験
製品試験は、含量、溶出試験、物性、確認試験が主な構成です。
含量:
HPLC/GCであれば、自動化を検討します。
オートサンプラー、自動計算、サンプルの前処理の効率化が検討項目です。
サンプルの前処理の効率化に以下があります。
一般的に20錠(カプセル)を取り、粉砕し、そこから100mgほど秤量⇒抽出⇒遠心分離(ろ過)⇒液をサンプルにします。
20錠取り粉砕が手間がかかります。20錠の代わりに5錠を取り粉砕せずにそのまま抽出する方法で代用することもできます。
その時注意すべきは、20錠の平均での保証が5錠の平均での保証になりますので、
αの誤り(合格しているのに不合格にする誤り)とβの誤り(不合格なのに合格にする誤り)の観点に配慮し、
判定範囲は承認書に記載されている範囲よりも厳しめに管理するのがよいかと思います。
自動化において難しいのは、試料秤量後にメスフラスコに取り、メスアップすることが自動化のネックになります。
自動化するには、溶媒を一定量加えるという方式に変更しなければなりません。
標準品と試料ではメスアップの溶媒量が異なります。そのため一定量加える方式の場合、
異なる溶媒量の違いが含量の結果にどの程度影響するかを確認する必要があります。
試料の賦形剤の量にも関係しますが、0.1〜0.3%ほど違いが生じます。
対応は、結果の管理幅を厳しくするか、もしくは標準品にも一定量の賦形剤を加える方法があります。
溶出試験:
品質再評価により、既に販売されいる多くの固形製剤に溶出試験が適用されました。
この溶出試験はもっとも試験負荷がかかるところです。
自動化をいかに進めるかが効率化のキーになります。
ただ、装置が多く必要になりますので、溶出試験は待ち時間が長いので自動化せずに、
一人の試験者が数台持つなどの工夫の余地があります。
物性:
日本薬局方に記載されている物性の多くは、インプロでも自動測定装置でデータを取っています。
そのデータをQC(製造以外の人が)が行うことで、代替にするバリデーションを取って代用することができます。
その他:
試料を100mg秤量すると記載されていると、試験者は正確に秤量しがちです。
そのために、何度も天秤の上で加えたり減らしたりするので時間がかかります。
赤ちゃんの粉ミルクを一定量取るように、匙の容量を調整し擦り切りで100mg±10mgの範囲に入るようにします。
そうすると秤量の時間が早くなります。
・原料試験
確認試験以外は、バリデーションにより、試験の省略が認められています。
確認試験をいかに効率よくするかによります。
赤外吸収(IR)が代替試験の確認試験としてよく使われています。
IRは固形物の場合は、KBr法が採用されますが、KBrで試料を作成に時間がかかります。
KBrではなくヌジョール法(ヌジュールが影響しない吸収や指紋領域で確認できる場合)で簡略する方法があります。
拡散反射のIR装置であれば、粉のままで測定ができます。
近赤外(NIR)を採用する方法もあります。
・その他
ホールピペットで一定量を吸引する場合、安全ピペッターを使いますが、これが時間がかかります。
ゴムキャップの先に自動ピペッターのプラスチックの先を付けて、
ホールピペッターの口に付けゴムキャップをへこまして液を吸わすと早く簡単に液を吸い上げることができます。