不良率改善(歩留り向上)

海外製造品の新製品の不溶性異物が日本の基準から判断すると、半分ほどが不良品でした。
目に見える異物が含まれていました。不溶性微粒子は問題がありませんでした。
このような時、どのような対応をするかを、実際の例を紹介しながら説明します。

1.現地の製造所の理解と協力を得る
現地の製造と品質のトップが理解されないと改善は進まない。
日本で言うところの工場長(または製造部長)と品質保証部長への説明が重要になる。
訪問するメンバーも品質保証部長クラスの肩書があるものが訪問し説明することが重要である。
訪問メンバーには工場の技術者も伴い、日本の取り組みのビデオや注意事項を紹介する。

2.実態を見て貰って問題点を理解して貰う
  海外の製造所の関係者は自分たちの製品に問題があるとの認識はしていない。
良いものを出しているのに、何故日本の会社は文句を言うのかとのスタンスである。
欧米に行くと部屋の明かりが白熱灯の温かい、でも薄暗い明かりで生活をしている。
日本人からすると薄暗く、蛍光灯の明かりが欲しいところである。
それは蛍光灯のような明るい光には弱いようなので、異物検査では異物が見えていないと思われる。
観察機(下から数万ルクスの明るさで、高速回転をして気泡を失くしてから見る装置)を持ち込み、実際に異物を見て貰う。
見て貰うと、それまで問題がないと言っていた人々が沈黙し、
いくらお願いしても協力姿勢を示してくれなかったが、態度が一変し協力してくれた場合があった。

3.不溶性異物試験方法を伝達する
現地の方法では見えていなかったので、見える方法と見方を作業者に教育・訓練する。
SOPの作成と作業者の認定を行う。

4.どこから異物が入り込んでいるかの調査を行う
製造ラインからサンプリング並びに時系列で製品のサンプリングを行い、異物の多い箇所を調べる。
サンプリング時の汚染がないようにする。

5.調査結果より、改善を行う
調査結果を報告すると、現地の人もいろいろとアイデアを出してくれる。
こちらのこれまでの経験やノウハウを伝えながら一緒に考える。

6.評価を行い、改善したかを確認する
品質サイクルのPDCAのCheckである。サンプルの評価を現地の人、そしてこちらも行い評価結果の一致性も確認する。

7.異物への取り組み方法を伝達し、自分たちでその後改善が継続できるようにする
現地で改善ができるように、様々な質問にも答え、異物に関する技術の移転を図る。

8.日本において受け入れ時に評価を行い、その結果を海外の製造所にFBする
  受け入れ結果をFBすることで、現地の取り組みの評価になる。

当初、50%ほどの不良率が10%まで低下しました。述べ100人・日の協力でした。
その後、その製品は現地の取り組みが続き5%以下の不良率まで下がりました。
不溶性異物だけでなく、外観の不良改善についても指導を合わせて行いました。
彼らにとっても、厳しい日本の市場に注射剤を製造し供給しているとの自負も芽生えました。

ある大手製薬メーカーでは注射剤の異物問題が生じたことから、
海外製造所で水だけを充填して良い製品ができるかの確認をされていたところもあります。

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