フレークス改善
フレークスは容器の材質にガラスを使っている限り必ず付きまとう課題である。
いくつかのフレークスのケースを紹介する。

1.溶解液のフレークス
 フレークスは、ガラスの表面が浸食され、ガラス表面が薄く剥離し、溶液にでて、光の関係でキラキラと光る
溶液のpHが高いとガラス表面の浸食が早くフレークスを発生しやすい。
水だけを充填した溶解液でも、フレークスが発生することがある。バイヤル瓶/アンプルの成形温度によって生じることがわかっている。

2.リン酸塩を含む溶液のフレークス
リン酸塩はガラスの成分を反応して不溶性の塩を作りやすく、リン酸塩が溶液に入っている時は注意が必要である。
成分の安定性に影響しないなら他の塩に変更することがリスク低減になる。

3.フレークスの対応
 バイヤル瓶/アンプルを成形している硝子会社での加工温度に依存する。
昔は、硝子会社は生産スピードを考え、1,500℃前後で成形していた。Naの蒸発温度が1,400℃前後であるため、 硝子に含まれているNaが蒸発し、直ぐに冷却しガラス内面に付着する。
高温で成形されたバイヤル瓶/アンプルは低温で成形されたものよりも、表面のNaが多いため、溶液のpHが高くなる。
また、硝子の成分のNaだけが蒸発で飛んでいることにより、硝子の組成に変化が生じ、浸食されやすくなっている。
成形する時の温度コントロールが重要である。

4.管瓶と自動瓶
医薬品のガラス容器には、生地管(ガラス管)をバイヤル瓶/アンプルに成形する方法と、金型にガラスを流し込んで作る自動瓶がある。
生地管は硬質ガラス、自動瓶は軟質ガラスである。
亜硫酸を容器に入れて、表面のNaイオンを除く、ブルーミング処理などもある。

5.成形温度を確認する試験方法
水を容器に入れて、滅菌してpHを測る方法では、水のためにpH測定が安定しない。
そこで、中性付近の指示薬をNaOHでちょうどpH7.0にし、容器に入れて滅菌する。
高温で成形されたものと低温で成形されたものでは、明らかに指示薬の色が違うことでわかる。

6.経年でのフレークス発生の確認
目視検査で行うときは、観察者にフレークスを事前によく説明し、フレークスの見本を見せて確認してもらう。
何も指示をせずに観察すると見逃すことがある。

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