ヴィクトル・フランクル(「夜と霧」の著者)が結婚を決めた出来事(「フランクルの生涯とロゴセラピ−」 勝田茅生著より)

ロゴセラピーの創始者ヴィクトル・フランクル(「夜と霧」著者、精神科医)が彼女との結婚を決意したエピソードがありましたので、紹介します。

フランクルはまだ彼女との結婚を決めていないときでした。彼女はフランクルの実家に行き、食事を作ってくれました。ところが病院から救急患者の連絡があり、フランクルはすぐに飛び出して行きました。彼の両親は先に食事を済ませましたが、彼女はフランクルを待っていました。2時間ほどして戻ったフランクルの顔を見て彼女はすぐさま、「手術はどうだったの?患者の具合は?」と聞きました。フランクルはこの瞬間にこの女性と結婚しようと思ったそうです。もし彼女がこの時、「やれやれやっと戻ってくれたのね。私は、あなたと一緒に食べようと思ってずっと待っていたのよ、ああお腹すいた」と言ったらフランクルはおそらく結婚する気にはならなかっただろうと、思い出の中に書いています。彼女が自分のことよりも真っ先に患者のことを心配して聞いてきたことが、フランクルの心をうごかすことになったのです。フランクル自身、常に自分のことを忘れようと考え自分の気分や快・不快の感情を超越しようと努めていたからこそ、このような彼女の自分を越える態度を敏感に感じとれたのでしょう。

フランクル夫妻は新婚9か月で、ナチの強制収容所に輸送されました。

好きな人と一緒にいられることは当たり前のように思いますが、それが許されない時代と状況に出遭うことがありました。当たり前の幸せが実はとても価値あるものだと思います。当たり前の幸せは、それを失くした時に気が付きます。失くす前に当たり前の幸せに感謝して行動ができたら、きっと幸せな生き方ができるのだと思います。

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