製品苦情の考え方と対応
製品苦情をどう捉えるか、そしてどう対応するかについて簡単に記載しました。

・製品苦情の考え方

製品苦情はお客様からの客観的な製品に対する評価です。
製品苦情をなくすこととお客様のCS(顧客満足)を高めることが重要な対策です。
ただ、製品苦情も重要度の評価とその苦情改善コストの両面から対応する必要があります。
つまり、限られたリソースの中で、CSを高め、それにより会社の顧客からの評価を高めるためにどうするのがよいかです。
会社として、どこに製品苦情対応の機軸を置くのかの考え方を明確にしておくと良いかと思います。

・製品苦情の対応

下記の情報を集め、起きた製品苦情のことの重大性を把握することがまず第一歩です。
製品回収の場合は当局への連絡、製品回収HPへの掲載、医療機関、卸などへの対応などあり、別途記載します。
1.その製品苦情が健康に影響するか?
2.その製品苦情がレギュレーション(薬事法の不良医薬品と製品回収の通知など)に反するか?
3.その製品苦情の広がりの特定(該当ロット内だけか、他のロット、他の製品にも広がっているか)は?
4.広がっている場合、その影響のあるロットのステイタス(製造中、製品、物流在庫、出荷済など)は?
5.製品苦情の事象の程度はどの程度か?
6.その製品苦情の該当ロットを出荷停止あるいは製品回収した場合製品の欠品は生じないか?
7.製品回収の可能性がある場合、調査・検討にどの程度の余裕期間があるか?
8.廃棄などの場合、そのコストはどの程度か?

・お客様からの電話対応

お客様は製品に問題があると以下の対応をされると言われています。
1.苦情品を見て、苦情に出さないが製品を使い続ける。
2.苦情品を見て、苦情に出す。
3.苦情品を見て、苦情に出さないが今後その製品は購入しない。

製品苦情対応は、2のお客様の満足が向上することにより、引き続きご愛顧願う活動です。
かつ、お客様からの声を、製品の改善や新製品開発に繋げる活動でもあります。

そのために、お客様からのお電話の対応により、今後もご愛顧いただけるか、他の製品に移られるかが分かれます。
「神様からのひと言」 萩原浩著 は苦情対応に携わっている人には参考になります。
その本からの引用;
1.お客様の気持ちを理解し、先ずは謝罪を伝える。
  原因が製品でなく、お客様の勘違いであっても、お客様に嫌な気持ちを与えたことを詫びる。
2.お客様の話を聴く。お客様は聴いて貰えるとお客様は気持ちが満足される。
  お客様の話を遮らないことである。
3.対応者は、お客様が怒られ暴言を吐かれても、決して熱くなったり怒ったりしない。


・「あなたが担当でよかった クレームが感謝に変わる最強の心理学」 中村友紀子著 welcome

暴言、悪行、陰湿、クレーまースタイルへの対応ポイント
1)まず第一に現状確認をさせていただくように要請する
2)問題だとしてきた商品、そのお買上げレシートのご提示を要請する
3)悪意のあるお申し出者だと確信したら、問われることや要請されることに実直に応えないという手もある。
  相手は不条理なお申し出者だから、通用する。
4)他の問題をどんどn上乗せしてきても、聞こえなかったふりで通す。
5)恐怖心を率直に、むしろ大げさに表現する。
6)本物のヤクザの可能性が強い場合
  電話をかけてすぐに来いと言う;名前と住所を聞いて、こちらから連絡すると伝えいったん電話を切る。
                 名前や聞いた住所、電話番号で暴力追放センターなどに一旦相談してみる。

            苦情代理人スタイルのお客様への対応ポイント
1)お客様への感謝とおわびの気持ちを、代理人の方に熱く伝える。
2)お客様に成り代わった、代理人への慰労の言葉を忘れない。
3)代理人の、お客様への愛情の深さに感心していることをお伝えする。
4)奥様のクレームをご主人が代理した場合、後にご主人が奥様に賞賛されるような対応処理をする。

お客様は商品のクレームだけでなく、そのクレームでお客様の心に不満が発生したとのことです。
その不満に応えることが苦情対応だと言うことでした。
つい、苦情の説明に重点が置かれてしまいますが、
お客様がその苦情で何に困っていらっしゃるかまで思いを馳せること重要になります。

・実際の事例
お客様から、「ある製品の箱の包装が糊付けだけだから問題だ」とお電話がありました。
対応者は、「糊付けされており、他の製品もどうようだから問題がない」と返答しました。
それを何度か繰り返す内にお客様が怒られてしまいました。
そして、「品質担当者から電話します」と伝えて終わりました。
私がお客様に電話すると、お客様は米国生活のご経験もあり、糊付けだけだと十分でないとのことを伝えたかったようです。
タイレノールではボトルキャップアルミでシールされています。
私が電話した時点で、既にお役所に友達がいるから電話したとのことで、
お役所の医薬品の担当者のところにその製品を送るようになっているので送りますとのことでした。
お客様には、せっかく貴重なご意見をいただいたこと、お気持ちを害したことをお詫びしました。
ご理解はいただきましたが、既に担当者に製品を送るようになっていると約束したので送りますとのことでした。
担当者から、会社に連絡があり、きちんとお客様への対応をして欲しいとのことでした。
せっかくのお客様からのアドバイスをいただきながら、問題がないとの返答で難しくしてしまいました。
お客様からのお電話は内容を聞くことも大切ですが、それ以上に大切なことはお客様のお気持ちを聴くことなのです。

ヤクザの交渉術に書かれた本(元ヤクザの人が執筆)の中に、
ヤクザは最初の苦情は何でもよい。言い掛かりのこともある。
それを言ったことで、対応者が失言したり、非礼な対応をするとそこにつけ込むそうです。
そのため、お客様からどんな酷いことを言われても、こちらは決して失礼な言葉や態度をださないことです。

「督促OL修行日記」 榎本まみ著welcome
新卒で信販会社に入社し支払い延滞顧客への督促を行うコールセンターに配属される。
多重債務者や支払い困難顧客から怒鳴られながらお金を回収する日々の中、心を病んで次々と辞めていく同僚を見て一念発起、
気弱でヘタレな性格でも言い負かされずに回収できる独自のメソッドを開発。
 朝から晩まで、怒鳴られ、脅され、謝る毎日。
洗濯の時間もなくて紙パンツ生活。入社半年で10キロ減・・・。こんなストレスフルな仕事でも、ちょっとしたコツで出口は見つかったのです。

・いきなり怒鳴られてピクッと身体が固まってしまったら、その瞬間思いきり足をつねる。
もしくは足の小指をもう一方の足で踏んづけるなどして、下半身を刺激する。
「痛っ!」と感じると同時に、怒鳴られたショックによる金縛りは解ける。そこからお客様に反撃することができるのだ。

・"凄腕の交渉人−お客様に大変人気があった−"激しい交渉をしていたT田さんの声と口調がガラリと変わった。
「色々厳しいことを申し上げましたが、くれぐれもご無理はしないでくださいね。
お客様のお体が一番大切ですから・・・では、ご入金をお待ちしています」

・"回収率100%の奇跡の債権?" 先輩が「フフ・・・すごいのよ。
こんなに回収率が高い商品は二つとないわ。しかもお客様は絶対に怒鳴らない。
まさに『奇跡の債権』なんだから。「で?なんの督促なんですか?」「うん、包茎手術」
督促の電話をすると「俺、○○のカード使ってないけど?」
「カードの利用ではなくショッピングというお買い物の分割払いでご利用いただいている分で・・・」
「何の費用ですか?」「医療費です」「医療費?俺使ったっけ、そんなの・・・。
分かんないけど」。仕方がない、「*月*日、**クリニックでご利用された、包茎手術の医療費です!」。
一瞬の沈黙。「あ、ああああ!はいはいわかりました。払います!すぐに払います」。
ものすごいいきおいで電話は切れた。その1時間後に入金確認が取れた。
先輩いわく「美容整形とかもそうだけど、人に知られたくないものは回収率がいいのよね」

・「申しわけございません」の謝罪を繰り返していると顧客は逆に怒る場合がある。
「さっきのオペレーターの態度が気に入らない!クビにしろ!」
「先ほどの者がお客様に不愉快な思いをさせてしまい、申しわけございません」。
このように「具体的な言葉」+「謝罪」を繰り返すことで、「相手の気持ちをわかっている」と示すことができるという。
「いいですかN本さん、クレームを言ってくださるお客様は、謝ってほしいと思っているだけじゃなくて、
自分の気持ちをわかってほしいかから電話をかけてくるんですよ」と先輩のアドバイス。

・督促修行で。"だめんず"好きに終止符。だめんずにひっかてる時は、周りの友達がどんなに「あんな人やめなよ!」
「あの人だめんずじゃない?」と言っても本人はぜんぜん気がつかない。
ところが「督促道」を身に付けるにつれ、不思議と長らく曇っていた目から霞が取れ、「あ、この人だめんずだ」とわかyるようになった。
ちなみに私が大学時代から長らくひっかかっていたのは、「悪口系だめんず」だった。
「お前はだからダメなんだよ」「いいところなんてない」「自分がかわいいと思ってんのか?」。
だめんずの彼は会う度に私にこう言った。最初は嫌だなと感じたり、ちゃんと傷ついたりもするんだけれど、
そのうち麻痺して慣れてしまい、なんの疑いもなく「私ってダメなんだ」と思うようになる。
完全に洗脳状態に陥る。「悪口系だめんず」にひっかかると、女は間違いなく容貌にそれが表れる。
うつむいて、おどおどしていつも自信なさそうな表情になってしまう。

・先輩の技を盗む!"ちいさな大発見"。S木先輩の督促の電話。
「朝早い時間にお電話して申し訳ございません!」「夜遅い時間、お疲れのところ申しわけございません!」
なぜか、みんな一言謝ってから話している。そうか、人間先に謝られるとしまうと、その上さらに怒りにくいのかもしれない。

・"悪口辞典"。「え?お客様のクレームですか?ボクは全然、ストレスなんて感じたことないですね」。
彼は常に十数件のクレームを抱えていて、お客様からの罵声を浴びない日はない。
時には1本の電話で2〜3時間ひたすら怒鳴り続けられることもある。
彼は「実はボク、お客様に言われた悪口をコレクションしているんです。
いつか自分だけの『悪口辞典』が作れるといいな〜と思って」。にっこり笑うと、ピンク色のB5サイズのノートを出してきた。
その中には、日付と、お客様に言われた悪口や罵詈雑言がぎっしり記録されていた。
それを見習って自分もコレクションを始め、それを4コママンガにしてブログに掲載し始めた。

・こちらから支払期限をお願いするよりも、相手に支払うことができる日を言って貰う。そうすると守る確率が高くなる。
・謝るだけでなく、"ありがとうございます"の言葉を2:1位の割合で混ぜると相手の気持ちがよくなる。
・人の「恐怖心」「義務感」「罪悪感」に働きかける。
「恐怖心」なら、「このままだとカードが使えなくなってしまい、今後の生活に大きな支障を来します」など。

コールセンターに配属されたために朝早くから夜遅くまで働いたそうです。
一緒に入った同期は9時〜18時で帰っていたので、その待遇があまりにも違っていた。
13人入った同期がストレスから転職、精神的な病気で休職していく、コールセンターはただ、
"生残っている"だけでも上司に「よくやっているねぇ!」と褒められてしまう状態だったそうです。
回収率の成績がダントツで低かったのが、多くの優秀な人が辞めていき、自分も少しずつ成長し、気が付いたら優秀な人になって行った。

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