年次安定性試験(25℃×60%)の実施と対応/規格に外れた場合の対応

PIC/S-GMPガイドラインの6つのギャップはGMP施行通知に反映されました。
そのために、年次安定性試験を最低でも1ロット/年行うことになりました。

3つのリスクが考えられます。
1)年次安定性試験を行っていなかった製造所
  変更したことの影響や、変更していなくても何かが変わって安定性試験で品質保証期間内で規格を外れているかもしれない。
2)品質再評価による溶出試験の規格化
  溶出試験は多くが50回転とゆっくりした撹拌なために微妙な変化を受けやすく、経年で低下するリスクがある。
3)25℃×60%の条件(申請当時なりゆきの長期安定性試験の製品)
  なりゆきよりも、25℃の方が過酷なため、室温なりゆきでは問題がなくても、25℃では品質保証期間を保証できない。

長期安定性試験条件
  安定性ガイドライン後に申請した製品の長期は25℃×60%、それまでは、長期はなりゆき

日本の年平均気温(2008年) 全国平均値 15.5℃
   沖縄23.4、鹿児島18.7、大阪17、東京16.4、富山14.6、宮城12.7、青森10.7、北海道9.5

日本の年平均相対湿度(2008年) 全国平均 69%
   富山79、青森74、宮城73、沖縄71、北海道68、鹿児島67、大阪63、東京60

GMP事例集2013年版(GMP11-69)
「安定性試験ガイドラインの改定について」(平成15年6月3日医薬審発第0603001号)
に述べられている一般的な原薬、製剤においては原則として25℃±2℃、60%RH±5%RHの条件で保存する。
ただし、当面の間は承認条件による保存を認めるが、温湿度のモニタリングを行うこと。

Q)25℃×60%の安定性試験で、有効期間内で規格外になったら?
事例集では、当面の間は承認条件による保存を認めているとなっており、25℃の安定性試験で規格が外になってもよいとは言及していない。
ただ、この事例集は監視指導麻薬対策課に確認していだしているので、監視指導麻薬対策課は、事例集のQ&Aでも示している通り、
仮に25℃×60%で規格外でも承認書に準拠していればよい、つまり「貯法及び有効期間」欄が空欄なら、
室温で3年間の品質が担保できれば当面はよいとのスタンスだと思います。
したがって、このQ&Aが変更されない限り、成り行きではOKだが25℃×60%で安定性が担保できない製品に対して当局が回収を指示することはないと考える。

Q)当面の間はとは?
当面の運用を変更する場合には、業界と当局間で十分な議論がされると考える。
もし、当局が、25℃×60%で安定性が担保できないことで、
1)一変申請による有効期間の短縮
2)製品回収

を指示あるようなら、それはその会社1社の問題ではなく、業界全体の問題になるので、業界と当局で充分話し合う必要があると考える。

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