5H(初めて、変更、久しぶり&犯罪,普段と違う)

品質トラブルは3H(初めて、変更、久しぶり)の時に起きること日本科学技術連盟の松田講師に教えていただきました。
過去の大きな品質トラブルを振り返るとまさにすべてが該当していました。
この3Hに犯罪と普段と違うを加えた5Hが品質トラブルが起きやすいように感じています。
品質トラブルが発見された時の鉄則は、”起きた問題より大きくしない”ことです。
そのためには以下の行為は品質トラブルをそれ自体よりもさらに大きな品質トラブルになり会社の経営にも影響します。
1.知らなかったことにする
2.先送りする
3.適切な対応を行わない
4.隠す
5.偽証する


品質トラブルを”(品質トラブル)地雷”と呼んでいます。
地雷を見つけたら自爆を覚悟して処理することです。
そのまま放置していると、いつか誰かが必ずその地雷を踏みます。
その時は大けがになります。
ましてや偽証したなら、その品質トラブルだけでなく、偽証自体が問題として問われます。
他にも隠していることがあるのではないか。
提出するデータが偽造されているのではないかと疑いの目で見られると全てが疑われます。
FDAの査察で疑われると、数人の査察官が数カ月に亘って詳細に確認します。
そうすれば多くの逸脱や問題点が出てくるのではないでしょうか?
3Hの時は、いつもよりも注意をする、感度を高めて行うことにより、品質トラブルリスクを減らすことができるのではないでしょうか。

松田先生の3Hに犯罪と普段と違うの2Hを加えました。
犯罪とは、SOPを無視する。SOPを知っているのにその通りにしない。
つまり意図的にSOPとは違うことをすることです。

大きな事故ほど、この犯罪(ルール違反)が起きています。
1.プリンスダイヤモンド号火災(天井の溶接の申請をしなかった)
2.JOC東海村臨界事故(SOPを上部団体の許可を貰わずに行った)
3.JR西日本福知山線脱線事故(スピード違反/人に優しくなかった)
医薬品産業においても
1.T薬品の意図的なサンプリング
2.K研の製造記録偽造

ルール違反はそれを行った人が悪いのはその通りである。
しかし、それを行わざるを得なかった経営層の指導やその会社の文化風土に問題があったと言える。
この犯罪を行わないだけでも品質トラブルを減らし、かつ品質トラブルを大きくしません

「貞観政要のリーダー学」  守屋 洋著
“大事は皆小事より起こる”
太宗(唐の二代目名君)が貞観六年、側近の者に語った。
あの孔子が、『国が危難に陥って滅びそうだというのに、だれも救おうとしない。
これでは、なんのための重臣なのか』と語っている。
まことに臣下たる者は、君臣の義として、君主に過ちがあれば、これを正さなければならない。
わたしはかつて書を繙(ひもと)いたとき、夏の桀王が直言の士、関竜逢を殺し、
漢の景帝が忠臣の晁錯を誅殺したくだりまでくると、いつも読みかけの書を閉じて、しばし嘆息したものだった。
どうかそちたちは、おのれの信ずるところをはばからず直言し、政治の誤りを正してほしい。
わたしの意向に逆らったからといって、みだりに罰しないことを、あらためて申し渡しておく。

ところで、近ごろ、朝廷で政務を決裁するとき、法令違反に気づくことがある。
この程度のことは小事だとして、あえて見逃しているのであろうが、およそ天下の大事はすべてこのような小事に起因しているのである。
小事だからといって捨ておけば、大事が起こったときには、もはや手のつけようががない。
国家が傾くのも、すべてこれが原因である。
隋の煬帝は暴虐の限りを尽くしたあげく、匹犬の手にかかって殺されたが、それを聞いても嘆き悲しんだ者はいなかったという。
どうかそちたちは、わたしに煬帝の二の舞いをさせないでほしい。
わたしもまた、そちたちに忠なるが故に誅殺された関竜逢や晃錯の二の舞いはさせないつもりである。
こうして君臣ともに終りをよくするなら、なんと素晴らしいことではないか。

普段と違うは、「何かいつもと違う!」と気づいて(感性)、報告して貰えるかです。
この違いはいつもよく観察している人にわかるものです。
報告して貰えるとしめたものです。
調査することができます。
これまでも、この気づきで大きな品質問題を事前に防いできました。
感性豊かな人をどれだけいるかが、強い現場力になっていきます。

CRM(Cockpit Resource Management) 「ジャンボ機長の状況判断 −失敗しない決断と行動−」 坂井優基著
CRM訓練で強調されること
1)機長は、まわりの人間が気づいたことや思ったことを言い出しやすい雰囲気をつくる
2)機長以外の乗員は、何かに気づいたときや少しでもおかしいと思ったときには必ず明確に口に出す
3)機長は、誰かが何かを言い出したらそれについて考える

ジャンボジェット機のミスは墜落に繋がるので、おかしいと思ったら、無駄でもよいから確認する。
特に、副機長がおかしいと思ったことは言わないと、機長もミスをするので、危ない。
逸脱の考えにも通じる。
逸脱でもなくてもいつもと違うおかしいと思ったら、報告したり周りに尋ねる、その感性が大きな問題を防ぐ。

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