「アドラー心理学への招待」 アレックス L.チュウ著 ”仕事、交友、愛”

アドラー心理学は、アルフレート・アドラーが始めた心理学で、個人心理学とも呼ばれている。
仮説
人は唯一無二の存在で、社会的であり、自己決定する存在であり、その心の働きには目的と目標がある。

1)すべての行動には社会的な意味がある
ライフタスク(人生の課題);社会、仕事、性(仕事、交友、愛)
所属感;個人心理学人間関係の心理学でもある。
個人間の交流を超えるのは、所属感、より大きな社会秩序の一部であるという感情の発達。
子どもの所属感が満たされないと、結果として不安と不幸感が生まれる。

2)パーソナリティには統一性とパターンがある。
全体論を支持し、還元主義を否定する。
人間は、特定のパターンで一生を通して目標に向かって運動している、ダイナミックで統一された有機的な組織体と見なされる。

3)行動には目的がある
人間の行動にはすべて目的がある。人とその行動はその目的との関連で理解するといちばんよくわかると考える。
人が何を望んでいるかがわかれば、その人の行動をもっともよく予測できる。
目的論;「目的的であり、目標に向かって働く」という意味
私的論理;個人がものをとらえるときの認知的な枠組みのことを言う。
私的論理はかならずしも共通感覚(常識)に一致しない。例えば「ママは出張から帰ってきた時、お土産を買ってこなかった。
だから、もう私のことを愛していないんだ」というのは、がっかりした子どもにとって、
いわば「共通の論理」の観点からではなく、その子の「私的論理」の観点からすれば意味のある表現なのである。

4)意味を求める努力が動機を明らかにする
人はそれぞれ自己改善のために努力しようとする生まれつきの願望を持っていると考えた。
劣等感;理論の基本は、劣等感が人間のあらゆる努力の源泉であるという概念である。
劣等感を感じることはふつうのことで、正常であり、行動への動機づけになるという意味では、役に立つものなのである。
自己実現;意味を求める努力の本質は、独自のアイデンティティを確立し、所属するという目標の実現に向かう活動にある。 
動機と子どもの所属への要求;動機は、子どもの意味・・・本人が意味だと思ったこと・・・への努力という光に照らして見ることができる。
自己概念;自分で自分はこういう人間だと思っている考え方のこと

5)行動は主観的な認知の機能である
人生というもののとらえ方を習っていく。
子どもは、自分自身とまわりの世界に関する概念を人生の早い時期に獲得するが、それが主観的なものの見方と呼ばれるものである。
  現象学;「主観的、個人的」という意味のアドラー派の用語
所有ではなく使用の心理学;大切なのは何を持っているかではなく、むしろ持っているもので何をするかということである。

人間を分割できない、社会的で、自己決定的な存在であり、その行動や心理的な活動には目的がると定義する。

ライフスタイルの発達が確立するのは子どもが5歳になったころだと見ている。

子どもの不適切な行動すべてを4つに分類
1)注目;注目を得ようとする
2)権力闘争;「周りの重要な他者を支配できなければ、この世で自分の居場所を得られない」というまちがった思い込みにつき動かされる。
3)復讐;自分が傷つけられたという感情の返礼として復讐を願う。
4)無力さを示す;子どもは、自分に何も要求されたり機体されたりしないための防御として無力さを使う。
参加したり貢献したりすることを避ければ、もっと恥をかいたり、困った状況になるのが避けられると思っている。

行動の4つのタイプ
1)能動的で建設的;「先生のお気に入り」
2)能動的で破壊的;「やりすぎの行動」
3)受動的で建設的;行動しないことで有利な位置を得ることができるような場合に表現される
4)受動的で破壊的;怠け、頑固さ、過食、吃音、恥ずかしがり、内気、遅刻、その他無力さを示すやり方

認識反射;自分のやっているよくないことの目標が明らかになると独特の笑いあるいは目の光という特徴がある。
行動の変化をもたらす第一段階になる。
「もしかしたら〜なのかな?」質問法で認識反射を引き出す。

感想;
アドラー心理学の本を何冊か読みました。とても興味がある心理学です。
この本は基礎的な考え方と子どもへの対処や子育てにはアドラー心理学はとても効果的だということが理解できました。


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