「成功の要諦」 稲盛和夫著 ”運命を変えていく” ”感謝の気持ちを持つ”

人生は「運命」という縦軸と「因果応報」という横軸からできている。
因果応報で善行をすることによって運命も変わって来る。

経営には心が必要。何を大切にして経営するか。
利他の心で経営する。

六波羅蜜の実践
1)布施 周りの人のために
2)持戒 自分を戒める
3)精進 向上する
4)忍辱 我慢する
5)禅定 座禅を組む
6)智慧

・心を高め魂を磨く
・感謝の心を持つ

運命は自分で変えていくことができる。
『陰?録』のたとえ話を紹介

『陰?録』(いんしつろく)とは、明代、呉江の人で、嘉靖年間から万暦年間を生き、74歳で亡くなった袁了凡(袁黄)が自己の宿命観を乗り越えて、自分から運命を創造してゆくことを悟った体験を書き記したもの 「陰?録」に運命と宿命という観点で、袁了凡のわかりやすい逸話

袁了凡は若い時分、ある占いの翁に悉く自分の運命を言い当てられてしまい、人には決まった定めがあり、それはどうすることもできないという宿命観に陥った結果、煩悩や欲望を一切捨てて生きていました。
そんなある日、雲谷禅師と出会います。
そんな袁了凡を見て雲谷禅師は感服していましたが、ある日
「あなたはお歳が若いのに似合わず、非常にお出来になっておるようだが、どういう修行をされたのか」
と問われます。
そこで袁了凡は
「別に修行なんてしておりませんが、少年のときに、これこれという次第で占いの翁に人相を観てもらって、いろいろと予言された。
 それが一つも狂わなかったので、それ以来余計な煩悩やあがきを一切止めました」
 と答えます。
それを聞いた雲谷禅師は
「なんだ、そんなことか。それではまことに君はくだらぬ男だ」
と吐き捨てて言うのです。
袁了凡がその理由を尋ねると、
「人の運命が初めから定まっておるものなら、何故に釈迦や孔子が苦労したのか。
 偉大なる人が学問修養したのは、それによって人物を創ることができるからだ。
 運命というのは変えていくもの、創造していくものだ。
 確かに”命”というものは存在するが、人はその”命”を知り、”命”を立てることができる。
 自ら立てるもの。
 人間以外のほかの動物にはできないことを人はやることができる。
 即ち真の運命とは、”命を知り(知命)”、”命を立てる(立命)”ことである。
 人とはどういうものであり、いかにすればどうなるかということを研究し、それに従って自らを創造することができるところに万物の霊長たる意味がある。  命は我より為すものである。
 今日ただ今より、新しい人生を生きよ。」
と説かれたのです。
袁了凡は愕然として悟り、発奮して学問に励み修身勤しんだところ、占いの翁の予言したことは以降悉く外れた、という話しです。
※)袁了凡という名は、占いの翁に寿命が尽きると言われていた53才の時に改名した名前。

この体験を基に袁了凡が人の運命論を説く書物、これが陰?録となる訳です。

人が浅はかで無力であると、宿命に引き摺られた生き方になります。
人が本当に磨かれてくると”運命”に、即ち自分

で自分の”命”を創造することができます。
そのためには、人は一生を通じて切磋琢磨し、学問修養しなければならないということです。
”禍福はすべて己より求めるものである”ということを悟り、陰隲つまり”自然の支配する法則を、人間の探究した法則に従って変化させてゆく”ことを志して自らの運命を切り開くこと”立命”こそが、何もより肝要だということなのです。

感想;
経営には自分だけが良ければという考えではなく、周りも幸せになることを考えて実践する。
そして感謝の気持ちを常に忘れずにいることが大切だと説かれています。


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