「脳内汚染」、「脳内汚染からの脱出」 岡田 尊司著 ”ゲームを長時間していると脳機能が変わる!”

長時間のゲームやネットに熱中しているといろいろな弊害があることは言われている。
この本では、ゲーム、ネット、オンラインゲーム、メールをやっている時間によって子どもたち(大人も)がどうなっているかを国内外の研究から報告している。

長時間やると睡眠不足や日常の学業あるいは仕事に影響することは誰でもわかることであるが、この本では、それが脳機能にも影響していることを紹介している。 つまり、知らない内に自分の脳機能が変わり、それにより、従来の自分でない自分、やる気が低下したり、性格(怒りっぽくなったりなど)が変わることがあるとのことである。弊害は毎日2時間やっていると影響が出てきて、3時間やっている人は明らかに大きな影響を受けていることがわかりました。

何故人はゲームを長時間もやり続けるのか?ゲームを行いあるレベルをクリアできると脳内ホルモン ドーパミンがでているとのことです。その量はドラッグを服用した時と同じぐらいの効果があるとのことです。ドーパミンがでると人は幸福感に満たされます。それをさらに満たそうとしているから長時間続けられるし、長時間やり続けるとのことです。ところが、最初は少しのゲームで満足していたのが、ドーパミンに満たされた脳は、それに慣れて来てさらに多くのドーパミンを求めようとする。ドラッグが止められないのはそのためですが、ゲームも同じように止めようと思っても止められなくなってくるとのことです。

ある女子高生が、部屋を散らかしていて、デートに行こうとしたら、母親から「部屋を片づけないと出かけてはダメ」と言われ、母親が出かけた後、家に火を付けてデートに出かけ、帰って家が燃えていても平気だったそうです。他にも殺害しても、平気で食事ができたりと、自分の犯した罪の重さがわからなくなってきている事件が時々起きているが、それらも脳機能が変わってしまった結果ではないかとのことである。

ゲームを止めるのは取り上げることで解決することもありますが、多くの場合は取り上げてもゲーム中毒になっていると回復は、ドラッグからの回復と同じように専門家の指導を受けた方がよいとのことでした。

感想;
学生時代にパチンコや麻雀を長時間やっていましたが、同じように脳内ホルモンのドーパミンが出ていたのでしょう。麻雀は4人集まらないとできない。パチンコはお金がないとできないなど、物理的な制限により長時間を継続することは不可能ですが、ゲームやネットはその制限がないためにいくらでものめり込むことができます。囲碁をネットで対局していた時は、「もう1局だけ」と思ってやり、終わると「もう1局だけ」とそれが延々と続き、外が明るくなったのを何度も体験したことがあるだけに、ゲームなどにのめり込む気持ちはよくわかります。 子どもたちは、簡単にゲームやネットを長時間できる環境に置かれているわけですから、社会や親が子どもたちがゲームなどにより人生を壊して行かないように管理や教育を行う責任があるとのことでした。子どもたちはある面、犠牲者でもあるとの言葉は放置している社会への警告のように感じました。


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