「日本人の心はなぜ強かったのか−精神バランス論−」 斎藤孝著 心と精神、身体(習慣)との関係

心と精神はまったく別物で、「心」と「精神」に「身体(習慣)」も加えた三点によって、私たちの存在は成り立っている。
昨今は、「心の問題」を抱える人が増えている。心の部分が肥大化している。
「心が強い人」は3つがバランスよく伸び、心は精神、身体(習慣)によってしっかり支えられている。
「心が弱い人」は心の部分が肥大化し、精神、身体(習慣)が縮小している状態。

明治維新で活躍した人は精神面が強かった。日本の将来をいのちをかけて心配し行動していた。
その精神面の強さを育んだのは「論語」などの勉強だったのではないだろうか。
「論語」の素読は江戸時代によくやられていた方法だが、これが効果があったのでは。古典で描かれていたのは「心」でなく「精神」だった。

身体面は、身体を動かすこと、何か習慣的に行うことが心にも大きく影響している。
講演などで、呼吸法やみぞ内を抑えて貰うなどするだけで会場の雰囲気が変わる。

心が弱ったときには「夜と霧」を読む
一人の人間がユダヤ強制収容所の中で希望を頼りにいかに生き抜いたかという、いわば精神の記録である。
少し読んでみると、その重すぎる現実に驚くに違いない。
それに比べたら自分の問題など大したことではない、自分はなんと幸福な状況にいるのか、と思えるばずだ。
それによって心は大きく救われるだろう。また極限状態の中でも希望を失わない精神にふれて目が覚めるということもあるだろう。

  感想
ロゴセラピーは精神が、心と身体の上位にあるとしていて、心と身体が病んでいても、精神が健常なら価値を見出すことができると説明しています。
価値には、創造価値(何かを創りだす)、体験価値(何かを体験する)、態度価値(何もできないと思われる状況でもどんな態度をとるか)があります。
この本は、視点を変え、精神と身体(習慣)が弱まったことにより、心の部分が大きくなり、心の問題に苦しんでいる人が多いと説明していました。
3つのバランスが大切だと強調しています。幾つかの著者がやっている対処方法が紹介されていました。
心が大変な状況の時は、この視点で精神面と身体面をアプローチしてみるとよいのではないかと思いました。

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