「悲しんでいい大災害とグリーフケア」 高木慶子著

悲嘆を引き起こす7つの原因 1.愛する人の喪失 死、離別(失恋、裏切り、失踪)
2.所有物の喪失 財産、仕事、職場、ペットなど
3.環境の喪失 転居、転勤、転校、地域社会
4.役割の喪失 地位、役割(子どもの自立、夫の退職、家族の中での役割)
5.自尊心の喪失 名誉、名声、プライバシーが傷つくこと
6.身体的喪失 病気による衰弱、老化現象、子宮・卵巣・乳房・頭髪などの喪失
7.社会生活における安全・安心の喪失

ターミナルケアの先駆者 柏木哲夫
博士はホスピスで家族を看取った遺族が悲嘆から回復するまでの期間を「約80%が18か月」と発表している。

アルフォンス・デーケンス博士(生と死を考える会全国協議会名誉会長)
悲嘆のプロセス
1.精神的打撃と麻痺状態
2.否認
3.パニック
4.怒りと不当感
5.敵意とルサンチマン(うらみ)
6.罪意識
7.空想形成、幻想
8.孤独と抑うつ
9.精神的混乱とアパシー(無関心)
10.あきらめ(受容)
11.新しい希望 ユーモアと笑いの再発見
12.立ち直りの段階 新しいアイデンティティの誕生

ケアする際の好ましくない態度(家族を失ったご遺族の協力を得て実施した調査の結果より)
1.忠告やお説教など、教育者ぶった態度、指示をしたり、評価したりするような態度
2.死という現実から眼を背けさせるような態度
3.死を因果応報論として押しつける態度
4.悲しみを比べること
5.叱咤激励すること
6.悲しむことは恥であるとの考え
7.「時が癒してくれる」などと、安易にはげますこと、もっぱら楽観視すること

誤った「傾聴」
つぐんでいる人の口を無理に開かせようとすること。
どんなつらい体験をしたのが、どれだけ大切なものを失ったのか、そして、どれほど大きな悲しみをいだいているのか・・・。
まるで、相手の心のなかを暴きたてるかのように質問を浴びせ、一言でも多くを語らせようとする傾聴。

グリーフケア・ワーカーの原則
1.評価をしない
  自殺したいと言われた時、それはよくないと伝えることも評価している。そう言うより、あなたがいなくなると私は寂しいとか伝える。
2.口外しない

大切なメッセージは「忘れていない」ということ。
回復とは前に向かって歩き出すこと。

阪神・淡路大震災から4年6か月後の調査の回答より
・この悲しい体験を通して出て来た結論は「人に対して優しくなる」ことだった。
・この体験を生かして、人の役に立ちたい。

感想;
深い悲しみの人の気持ちは、同じ体験を受けた人でないとなかなかわからないと思います。
こういったことを学ぶことで少しは苦しい辛い気持ちを少しは知ることができるのではないかと思います。
そして、どのように接するのがよいのかも知っておくと、接し方も違ってくるのではないでしょうか。

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