「心の深みへ うつ社会脱出のために」 河合隼雄 柳田邦男共著

「心の深みへ うつ社会脱出のために」 河合隼雄 柳田邦男共著
内容;
1)はじめての門をたたく
2)何が人を幸福にするかを描く
3)生きにくい子どもの深層を探る
4)人が死ぬときに迫る
5)息子の死を見つめて語る
6)心の環境問題に取り組む
7)直面している生き方の問題を語りあう


河合隼雄さんの言葉;

「ふたつよいこと、さてないものよ」

「カウンセリングっていうのは、道具があるとしたら自分自身という、人間なんです。人間ができてなかったら話にならないんです。」

柳田邦男氏の自殺した二男の腎臓提供

柳田邦男の長男が医者に「洋二郎(自殺した柳田邦男氏の二男)の臓器がそこにあるから利用するというんじゃなく、
病気で苦しんでいる患者さんを救う医療のために、洋二郎が参加するんだ。
それに対してお医者さんは、それを支援するつもりで移植医療というのをやってほしい」と伝えた。

コンストレーション(星座)

ユングの有名な言葉「コンストレーション(星座)」
無数の星。それぞれの星には他の星と意味がないが、それを結びつけて星座とすることで意味を見出す。

柳田邦男氏の二男の自殺が教えてくれたこと

息子の死は私の生き方、ものの見方をがらりと変えました。
こんなに豊かに自分が田耕されていいんだろうかと、洋二郎には申しわけないような気持ちです。

いろんなものが見えてきたり教えられたりして・・・。 神戸の少年A事件の彩花ちゃんの母の体験

  神戸の少年A事件で淳君ともう一人、彩花ちゃんという少女が殺されていますけれども、
彩花ちゃんのお母さんの山下京子さんが娘さんを亡くされてからまったく茫然自失の状態で、その喪失感からなかなか立ち直れないでいた。
秋になってやっと自治会の集まりに出たのですが、帰るときにふと気がつくと、
満月のお月さまが彩花ちゃんの顔に見え、声が聞こえたというんです。
「お母さん、そんなにいつまでも恨まないでいいよ。私は天国で幸せに生きているんだから」と。
その声があまりにも現実性を帯びていたし、お月さまの中に彩花ちゃんの顔が見えたので、急いで家に飛び込んでカメラをもってきて撮影した。
それを現像したところ、五枚撮ったうちの一枚が金色に輝いていた。
そして、その出来事がきっかけで、立ち直りの最初のステップを踏むことができたというんです。

佐藤初女「森のイスキア」

ある女性が心に葛藤を起こし、それが越えられなくて自殺しようとして、しかし、人づてにあそこに行くと治してもらえるかもしれないと聞いて、
死ぬ前に最後の試みとして初女さんを訪ねてみようと、「森のイスキア」を訪ねてみた。
初女さんは心から迎えてくえたけれど、おむすびや山菜料理で接待しえくれただけで、とくに助言らしい話はしてくれなかった。
本人は「なーんだ」と失望した気持ちで帰った。やっぱり死のう、と。
だけど帰りの列車の中でおなかがすいたので、おみやげにもらったおにぎりを食べたところ、おいしかった。
そのとき何かがはじめたようにドッと涙があふれてきた。
「こんな自分のために、お腹がすいてはと、おにぎりをむすんで、もたせてくれた人がいる」 そう気づいたんですね。
その瞬間、閉塞状態にあった自分の心が解放され、一歩前に進めるようになった・・・。

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