本の紹介&感想

「デリー路上生活の子どもたちと」 牧野由紀子著

「デリー路上生活の子どもたちと」 牧野由紀子著
この本は、ペンション シャローム(那須)の方からご紹介いただきました。支援されています。

2004年に35年間働いたアラハバード農業大学農村指導者養成所の農村婦人指導者養成所主事を引退して、
日本への帰国を準備していた時に、全インド農村開発しているNGO団体で働くことを誘われました。その時の年齢が64歳だったそうです。

その時に、農村からデリーに家出してきた子どもたちを支援している団体でした。
毎年40万人の人々が職を求めてデリーに出て来て、路上生活となり、昨年は3,250人が過酷な気候と餓え、麻薬などが原因の行き倒れ死んでいったそうです。
特に、貧困や災害から家族を救うために、出稼ぎに来た青少年が多いそうです。多くが路上生活者になって行きます。
女の子は売春をして生きて行かざるを得ないそうです。

そこで、そういった子どもを自立支援する”子ども村”を提案し、それが取り上げられ、その建設に向けて活動を始めています。
日本では資金面等で支える会を発足させ、土地購入代金のほぼ50%を寄付することを目指しています。

この本は、牧野さんがインドから子どもたちの様子や子ども村建設の取り組みを報告する”通信”をまとめて本にしたものです。

この本を読み、子どもたちはその国の将来を支える宝です。
その宝が犯罪や売春、路上生活など社会の負の面に関わって行くか、それとも自立して社会の正の面に関わるかで大きな違いが生じます。

今、日本は80~120万人の引きこもりの青少年がいると言われています。男性が多いそうです。引きこもりの年齢が上がっています。
その若者が将来社会の負の面(生活保護生活者となり社会に支えて貰う)に回るか、それとも年金生活者を支える側に回るかで大きな違いが出て来ます。

子どもを支えることはその国の未来を支えることなのだとこの本を読み、そのことを強く実感しました。
本には、どうして家を飛び出したか、そして今何を学び、将来何をしたいかなど、何人かの子どもたちが紹介されています。
過酷な生活の中から脱出し路上生活へ、そこを助けられ希望を持って学んでいます。
子どもたちが武器を持つか、暴力や娼婦になるか、それとも希望を持って学ぶかは、大人の、社会の責任だということが伝わって来ました。

アーシャー子ども村を支える会 より
アーシャー子ども村を支える会は、デリーの路上生活の子ども達を惨状から救い出すと共に、羽を休め、未来に向かって羽ばたく手伝いをする団体です。
長年インドの底辺にいる女性と青少年の育成に当たってきた牧野由紀子氏によって始められました。
牧野由紀子氏は、1967年より37年間、インドの農村地帯の貧しい子供や女性の教育と自立を助ける活動を指導し、
アラハバードで少年労働者ための夜学アーシャニケタンを運営して、多くの青少年の自立を助けてきました。
しかし、村から都会に出て行き路上生活者になってしまう青少年たちのことを絶えず心の痛みとしてきました。
2004年、デリーで路上生活をしている子ども達の自立を助けるドンボスコー・アシャラヤムの活動に出会い、参加しました。
そして、その施設が狭くて、増え続ける子ども達を収容できなくなっている窮状を見かね、
子ども達が成長し、社会人として独り立ちするための生活訓練と教育と職業訓練が出来る「子ども村」を造ろうという大きな夢を子ども達と共に抱きました。
そして、同年「デリー・牧野由紀子の活動を支える会」を発足させ、「子ども村」土地購入資金の募金を募り、
またデリーに拠点を置いて活動する氏の活動を支えてきました。
しかし、現在インド、デリーは高度成長の好景気に伴い物価が上昇、借家料も跳ね上がっています。
諸事情をかんがみ、2007年春以降の活動拠点を氏は日本に移すことに決めました。
それに伴い、会の名称も「アーシャー子ども村を支える会」と改めることにしました。

  前任者・牧野先生夫妻からのご挨拶 より
主は私達のために命を捨ててくださった。それによって、私達は愛ということを知った。
それゆえに私達もまた、兄弟のために命を捨てるべきである・・・・あなた方は、それぞれ賜物をいただいているのだから、・・・・
それをお互いのために役立てるべきである。奉仕する者は、神から賜る力による者にふさわしく奉仕すべきでる・・・・・・・・・・・
み言葉を与えられて、燃える心をいだきつつ1965年にインドに派遣されてから今年で39年を迎え、来年9月には65歳で引退を迎えようと思っています。
皆様の祈りと経済的支え無くして、今までの働きを続けることはできませんでした。ここに深く感謝を覚えます。

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