本の紹介&感想

「世界を変えた10冊の本」 池上彰著

「世界を変えた10冊の本」 池上彰著

「アンネの日記」アンネ・フランク著
一人の少女の日記が国際社会を動かした。
ドイツに住んでいたフランク一家はオランダに移りったが、そこでもナチスのユダヤ人狩が進み、隠れた。
アンネはそこで日記を書いて、それが将来公開されることを願っていた。
隠れ家は見つかり、姉、母、アンネは強制収容所で亡くなり、父だけが生き残った。
フランク一家を支えたミーブ・ヒースがアンネの日記を保管しており、それを父に渡した。
父はアンネの性の目覚めの描写や母との葛藤の箇所を削除して出版した。後に削除した部分を含めた本が出版された。

「聖書」
欧米文化の基礎を築いた。聖書に「旧約聖書」と「新約聖書」から成り立っている。旧約聖書の冒頭の五つの書をユダヤ人は「律法」と呼ぶ。

「コーラン」
穏やかな経典だが過激派も生んだ。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は唯一絶対の神を信じており、この三つの宗教は同じ神である。
イスラム教では旧約聖書と律法に「コーラン」を加えた三つを大事な経典にしたが、この「コーラン」が最も大切な存在だとした。
人間たちは神の言いつけを守ろうとしない。あるいは神の言葉をねじ曲げてしまっている。
そこで神は最後にムハンマドを予言者に選び、彼に最後の神の言葉を伝えたというわけです。

イスラム教徒が守るべき五行
1) 信仰告白 ムハマドは神の言葉を授かった予言者であると宣言する。
2) 礼拝 1日に五回の祈りを捧げる。
3) 喜捨 生活に困っている人にお金を恵みなさい。
4) 断食 年に一か月の断食をする(日の出から日の入りまで飲食しない)
5) メッカ巡礼

シーハ派;予言者ムハマドの血筋を引くものこそが正当な後継者と主張する人たち
スンニ派;イスラムの教えに基づく慣習に従っていけばいいと考える人たち

イスラム原理主義
 ・ムハンマドが生きていた理想の社会に戻ろう
 ・イスラムの教えによって社会を復興させよう
イスラム原理主義自体は暴力やテロとは関係ない。スラム街で貧困に苦しむ人たちを援助したり医療活動をしたりする組織もあり、多くの住民に支持されいる。

イスラム復興運動のためなら暴力も許される。
欧米文化と戦うのはジハード(聖戦)だと考える一部の組織が生まれ欧米社会から見ればテロと呼ばれる行動を引き起こすようになった。
イスラム原理主義過激派と呼ばれている。

「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」 マックス・ウェーバー著
宗教と経済の意外な関係を分析
 労働者は労働を神が望まれた生活の目的と考えて熱心に働くのだ
プロテスタンの国で資本主義が発展した。
つまり、事業家も労働者も一生懸命働くことが神の意思に従うとの考えが資本主義を支えた。その後、宗教的な意味が消えて行った。

「資本論」 カール・マルクス著
資本制生産方式が君臨する社会では、社会の富は「巨大な商品の集合体」の姿をとって現われ、ひとつひとつの商品はその富の要素形態として現われる。
したがってわれわれの研究は商品の分析からはじまる。資本論の冒頭
商品には使用価値と交換価値がある。
労働が含まれるから価値がある。人間の労働が含まれるから商品は価値を持つ。労働の量は労働時間で測る。労働力が商品になる。労働力は搾取される。
商品価格を安くして労働力を安くする。労働者が貧困になり、貧困が巨大化して行く。
労働者の憤慨も激しくなり、資本主義は崩壊を告げる鐘がなり、収奪者たちの私有財産が剥奪される。
マルクス主義理論によれば、封建社会から資本主義社会を経て社会主義に到達するはずがだったのが、
封建社会から社会主義を経由して資本主義に至った。(ソ連、中国)

「イスラム原理主義の『道しるべ』」 サイイド・クトゥブ著
オサマ・ビンラディンの教本となった。
イスラム絶対主義;イスラームこそ、高い理想の価値観と生活様式を保有するただ一つのシステム
世界全体が文明・文化の遅れたジャーヒリーヤ(無明社会)に汚染され、物質的豊かさも発明の進歩も無知を根絶していない。
人間の主権ではなく「神の主権」;主権が国民に存在するのではなく、神に存在する。
世界中が無明社会になっている。シャリーア(イスラム法)に従え。

「沈黙の春」 レイチェル・カーソン著
自然は沈黙した。うす気味悪い。鳥たちは、どこへ行ってしまったのか。みんな不思議にに思い、不吉な予感におびえた。
裏庭の餌箱は、からっぽだった。ああ鳥がいた、と思っても、死にかけていた。
ぶるぶるからだをふるわせ、飛ぶこともできなかった。春がきたが、沈黙の春だった。
汚染といえば放射能を考えるが、化学薬品は、放射能にまさるとも劣らぬ禍をもたらし、万象そのもの−生命の核そのものを変えようとしている。
この本を書くきっかけは友達から受け取った一通の手紙でした。DDTが前年空中から散布されたところ、多数の野鳥が死んでしまった。
ミミズがDDTに汚染され、そのミミズを食べた鳥が死んだ。

「種の起源」 チャールズ・ダーウィン著
キリスト教社会の根底を揺るがした。
ガラパゴスの生物たちがヒントになった。
キリスト教では生物は神が創造した。ダーウィンは"変化することで多用な種が生まれる"の考えを紹介した。
変異と自然淘汰;変異した生き物は、闘争に勝てなければ自然淘汰されてします。従来の種より生き残りに強ければ、従来の種にとって替わる。

「雇用、利子および貨幣の一般理論」 ジョン・M・ケインズ著
経済不況を救う"処方箋"となった。
従来は不況になっても、政府の財政支出が赤字にならないように運営され、それがかえって不況を深刻化させ、恐慌にまで至ったことがあった。
ケインズ経済学が浸透したことで、各国政府は積極的に財政支出を進め、恐慌の発生を未然に防ぐことができることになった。
景気が回復し、税収が増え、財政投資費用を回収する。かってマルクスが「予言」した恐慌は発生しなくなり、資本主義は生き延びた。
経済が好況になっても、政府が財政投資を減らすことをしないために、恒常的に財政赤字に悩まされるようになった。

「資本主義と自由」 ミルトン・フリードマン著
政府の仕事は、個人の自由を国外の敵や同国民による侵害から守ることに限るべきだ。
理念をひと言で言えば「人に迷惑をかけない限り、大人が好きなことができる社会」
第一の原則;政府の役割に制限を設けなければならない
第二の原則;政府の権力は分散されなければなない
自由な市場は自由な言論の自由も守る
こんなものいらない14項目
1. 農産物の買取保証価格制度
2. 輸入関税または輸出制限
3. 農産物の作付け制限など
4. 家賃統制。物価・賃金統制
5. 最低賃金制度や価格上限統制
6. 銀行に対する詳細な規制など
7. ラジオとテレビに対する規制
8. 現区の社会保障制度
9. 事業や職業に関する免許制度
10. 公営住宅、住宅建設の補助金
11. 平時の徴兵制
12. 国立公園
13. 営利目的n郵便事業の禁止
14. 公営の有料制度

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