本の紹介&感想

「女子高生の裏社会」 仁藤夢乃著 ”人は希望を持つと頑張れる!”

JK産業で働く少女の次の3つの層に分けられる
1)貧困層;貧困状態にあり、生活が困窮している層
2)不安定層;経済的困窮家庭の子ではないが、家庭や学校での関係性や健康・精神状態に不安や特別な事情を抱えている層
3)生活安定層;経済的にも家庭や学校における関係性的にも困窮しておらず、その他特別な事情も抱えていない層
(1)生活が困窮していても教育が受けられる状況にすること
(2)安心して過ごしたり眠ったりできる家
(3)安心して働ける仕事
それに加えて、「それに繋いでくれる大人との出会いや関係性」

大人への不信感;大人を信じられない体験をする
・警察に事情聴取された。親には連絡しないとの約束だったのに翌日親に連絡が行っていた。
・東京都の教育相談センターを紹介され、相談室で相談員に話した。
 誰にも言わないから話で大丈夫とのことだった。ところが、話したことが親に伝えられ、親が迎えに来た。
 相談員の言い訳は「あなたの命を守るため」だった。
 親の態度は変わらず、精神科医に連れて行かれた。それから薬の量は増えるだけ。
・高校ではチューター制度があり、自分の希望する先生を選んで相談できた。
 若い先生を選んだが、「お前は馬鹿だからそんな仕事しかできない。お前は汚い。
 そんなお前に進路指導なんかできない。自分で考えろ」と言われた。

女子高生で儲けようとする大人が女子高生との関係性を持とうとする。
一方、本来社会で支援すべき大人はそういう女子高生との関係性を持とうとしない。
夜の街でキャリーバックを引いている家出と思われる女子高生に声をかけるのは、女子高生を使って儲けようとしている大人である。

十分な判断基準がまだできていない女子高生に簡単な仕事、危なくない仕事を言って、近づき、
最初はそうであっても、その後、少しずつ性に関する仕事や危ない仕事に引っ張っていく。
女子高生も気づいたら売春などの行為にまで行ってしまっている。中絶を体験する少女も少なくない。
売春とか性病とか避妊とか十分な知識がない少女が多く、知らないうちにそうなってしまっている。

ぐ犯少年:ぐはんしょうねん
別名:虞犯少年

少年(20歳未満の者)のうち、将来、犯罪行為をするおそれがあると特に判断される少年。
少年法第3条の3に定義される少年の通称。

少年法第3条では「審判に付すべき少年」として次のように定義している。
第三条  次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
  一  罪を犯した少年  
二  十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年  
三  次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
   イ   保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
       ロ   正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
       ハ   犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
       ニ   自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
一、二、三において定義された区分は、それぞれ、一「犯罪少年」、二「触法少年」、三「ぐ犯少年」の語で指示される。

犯罪少年、触法少年、ぐ犯少年は総称して「非行少年」と呼ばれる。
非行少年には該当しないが警察に補導される(飲酒や喫煙などの)行為を行った少年は「不良行為少年」と呼ばれる。

少年にはあって、大人にはないのだろうか?JKビジネスが成り立つ背景には、それを求めている男性がいるからである。
わかってくれる大人がいない;
不安な時や何か困ったときに愚痴をこぼしたり相談したりできる大人、親や教員に言えないことを話せる大人、
「娘」や「生徒」という肩書を外した付き合いのできる大人との信頼関係がたった1つでもあれば、彼女たちの今は違っていただろう。
取材で話を聴いていると「わかってくれる大人がいない」と多くの少女が口にした。
「わかってくれる大人」とは、「向き合ってくれる大人」のことだ。わかろうとしてくれる大人が彼らにはいなかった。
中高生は世間知らずで当たり前だ。
世間知らずのまま裏社会に流れ、そこで出会った大人に教育され、関係性も狭められていくケースが後を絶たない。
そして、「おかしいな」思うことがあっても、嘘や危険に自分で気づけず、足を洗えなくなっていく。

居場所づくりのプロ;
高校生のときから、私はいつも疑問に思っていた。なぜ、裏社会の大人にできていることが、表社会ではできないのだろうかと。
裏社会の大人は居場所づくりのプロだ。JK産業で働く女性に認識されている大人は、スカウト、店長、オーナーの3人だけ。
スカウト;その女性に合った店を紹介する。仕事先の相談に乗る。
店長;少女との関係性づくりを行い、店を彼女たちの居場所にしていく。
少女の話を聞き、励まし、褒めて叱り、彼女たちに「親戚のおじさんみたい」と言われるほど関係性を上手く築き上げる。
リーダーになりそうな少女は目をかけて育てる。
他の少女のまとめ役や監督を任せたり、少女たちが過ごしやすいルールをを自分たちでつくらせたり、
客が喜ぶオプションを考えさえるなど、店の経営に関わらせ、やりがいやプロ意識を持たせている。
また、受験を控えている少女に学習支援を行ったり、厳しい親の家の子には親へのアリバイづくりの協力をしたり、
金銭管理ができない少女への貯金代行サービスを行っている店もある。
オーナー;たまに現れて、「君頑張っているね」、「期待しているよ」と声掛けをしている。少女は嬉しくなる。

「めげない援交おじさんを見習って!」
私も少女との関わりの中で、傷ついたり、裏切られたり、
あと一歩というところで連絡が途絶えて少女の気持ちや自分の至らなさにがっくりすることはある。
だけど、めげない。諦めない。
高校時代、私は毎日当たり前のように、「ホテルに行かない?」と援助交際を持ちかける男性に声をかけられていたが、
買春したがる男性たちや、少女を利用する側の大人たちは日々たくさんの情報を集め、
少女たちとのつながりづくりにものすごく力を入れている。

感想;
先ずは実態を知ることだと思いました。
話を聴いて、何を必要としているのか。
できることがあるのかどうか。
彼女の行動に何か支援ができたらと思いました。
どうするかは、私の問題になります。


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